この
政策アンケートは、全国で1,000万人を超える方から声を集め、先月安倍総理のもとに届け、若者政策の推進を申し入れました。静岡市においても3万5,000人を超える方からアンケートへの御協力をいただき、私自身も街頭に立ち、直接多くの方の声を伺うことができました。
全国のアンケート結果を見ると、支持を集めた若者政策の第1位は、「非正規雇用の待遇改善、最低賃金1000円を推進」する雇用の政策でありました。若者が抱く将来への不安の一つは、収入が不安定という問題です。所得の底上げや待遇改善に力を注ぎ、未来に希望を持てる社会の構築が求められます。
第2位は、「不妊治療の公費助成、幼児教育の無償化をめざす」政策であります。意識調査で子供が欲しい、できればもう1人と希望する御家庭が多いと改めてわかりました。不妊治療が受けやすい体制や、
幼児教育無償化の推進により、安心して出産、子育てができる環境整備をさらに推し進めていかなければなりません。
第3位は、「無料で使える
公衆無線LANの充実」を推進する政策です。今や若者だけでなく、国民にとって携帯電話は必需品です。
スマートフォンなどの普及により利便性が増す一方で、各家庭の携帯料金は10年間で約2万円も増加しております。
公衆無線LANの充実は市民生活を支えるだけでなく、まちの活性化、防災面でも効果が期待できます。特に観光面にとって無線LANの整備は大変重要であります。こうした政策が今後力強く推し進められ、地方の若者に希望をもたらしてくれることを期待したいと思います。
この上位3つの政策のうち、非正規雇用、
公衆無線LAN整備の分野から、本市の進める政策について質問してまいりたいと思います。
今回質問はいたしませんが、アンケート第2位の内容である不妊治療の公費助成について、本市は本年度よりさらに助成内容を拡充、不
育症治療費助成が新規創設され、他都市に比べて手厚い内容になったことは大変高く評価しております。こうした助成金制度の市民への周知をさらに充実していただきたいと、一言加えさせていただきたいと思います。
初めに、静岡市役所の
非常勤職員について、伺ってまいります。
市職員の中には、非正規雇用である
非常勤職員の方が数多く働いております。それぞれの部署で正規職員に負けないくらい奮闘されております。
私もかつて、静岡市内の中学校で非常勤講師をさせていただいた経験があります。非常勤ではありましたが、授業以外に学級経営、部活動の顧問や校務分掌も行い、なかなかハードであったと思い出します。
私の経験はつたないものですが、
非常勤職員は不安定な雇用形態のため、特に若者にとっては将来設計に不安をもたらすことも事実です。
公明党は同一労働同一賃金について、正社員の6割程度である非正規労働者の時間当たり賃金を、欧州並みの8割程度に引き上げるべきと政府に提言。これを受け、政府も方針を決定し、先般の
通常国会閉会に当たって安倍総理は、同一労働同一賃金の実現を明言しております。今後の政府の取り組みが功を奏し、所得の底上げにつながればと期待しております。
さて、本市職員については、こうした
非常勤職員が増加しているのが現状です。これは平成17年度以降、2次にわたる
定員管理計画を策定し、事業の民間委託、
指定管理者制度への移行、
非常勤職員の採用により大幅な職員削減を実施しました。今後、同様の手法による職員の大幅な削減は難しい状況にあることから、
職員適正配置計画を平成27年度より進めております。これは4年間で50人の
正規職員削減を目標としたものです。
先日、こども園の保育現場で奮闘する先生方から声を寄せていただきました。高まる保育ニーズや、子供の発達状況にあわせた加配対応など、現場としては正規職員をふやしてほしいが、短時間のパート、
非常勤職員の方でも配置してほしいと、人手不足の声も伺っております。今後、
非常勤職員を募集していく際は、処遇の改善など確保策が必要と考えます。
職員適正配置計画を踏まえ、非常勤職員の現状について2点質問いたします。
まず、改めて、本市はどのような考えのもと
非常勤職員を採用しているのか、伺います。
次に、
非常勤職員の人数、具体的な配置分野の現状、
非常勤職員の任用についての課題認識について伺います。
続いて、
公衆無線LANの整備について伺います。
公衆無線LANの充実は、市民生活を支えるだけでなく、まちの活性化、防災面、そして観光面でも効果が期待されるわけです。
本年1月、総務省・観光庁から発表されました「
訪日外国人旅行者の国内における
受入環境整備に関する現状調査」によると、旅行中に困ったこととの問いに対し、
無料公衆無線LAN環境が46.6%で最も多くなっております。また、
無料公衆無線LAN環境を利用できると便利な場所として、上位から、空港、ホテル、駅、商業施設、飲食・小売店、
観光スポットなどと続きます。こうしたアンケートからは、
公衆無線LAN環境の充実が観光面で大きな効果を生む可能性を示しております。
また、大規模災害時にも重要な役割を発揮します。防災拠点となる施設に設置することで、メールよりもつながりやすいLINEやツイッターを利用できるメリットは大きいと考えます。
このたびの熊本地震で避難所生活をされている方々からは、学校等の避難所において民間事業者が提供した
無料公衆無線LANが非常に助かったと聞いております。また、中心市街地への整備は商店の活性化にも大きな効果が期待されます。
現在、本市は、官民協働で「
Shizuoka Wi-Fi
Paradise」事業を進めております。平成26年2月議会で私が質問させていただいた際は、
アクセスポイントは現在21カ所で、100カ所以上を目指すとの答弁でありました。その後、平成26年6月には、総務省、「電波の日・
情報通信月間」で
東海総合通信局長表彰を受け、本事業は先進事例として全国的にも注目を浴びております。
そこでスタートから約3年が経過しております。「
Shizuoka Wi-Fi
Paradise」事業についての進捗状況と課題、今後の取り組みについて伺います。
現在、官民で連携した
インバウンド誘致を進めております。本市は
モバイルWi-Fiルーター・レンタル事業を実施しております。
公衆無線LANは定点に限られるため、その場所を離れれば使えなくなってしまいます。このルーターを持っていれば、
外国人観光客が持ち込んだ
スマートフォン等でも
モバイル通信を利用し、基本的にどこでもインターネットにつながります。訪日外国人にとっては大変ありがたいサービスと思われ、効果が期待されます。また、
清水港客船誘致委員会を中心とした、積極的な誘致活動が実を結び、現在、多くの大型客船が入港しております。こうした客船観光客の満足度向上にも寄与するものと思います。
外国人観光客向けモバイルWi-Fiルーター・レンタル事業の実績と課題、今後の取り組みについて伺います。
本市所管の観光施設の
公衆無線LANの整備は、施設の満足度向上、来場者増加のために必要と考えます。民間施設はそれぞれ独自に、積極的に設置が進められているようですが、本市所管の観光施設は、未整備箇所が多いと見受けられます。歴史資源などを活用した観光施設への設備改修、看板設置、
パンフレットづくりなどは、既に予算化されているものも多くありますが、
無料公衆無線LANの整備も、今後積極的に進めるべきと考えます。
観光施設における
公衆無線LAN整備の課題と、今後の取り組みについて、伺ってまいります。
最後に、大項目3、
防犯灯LED化事業についてであります。
防犯灯設置要望については、日ごろより数多く寄せられ、住民生活に身近な課題であります。現在、本市は防犯灯のLED化を行う自治会、町内会への補助事業を実施しております。毎年春になると、自治会長さんに地域の要望を取りまとめていただいております。
本事業は、平成24年度から28年度までの5カ年で、LED化率50%を目標とする計画と認識しております。本年度が
計画最終年度の区切りとなりますが、
防犯灯LED化事業のこれまでの進捗状況、区別の実績について伺います。
LED化が進むことで、省エネ効果、
CO2排出量の削減にもつながります。この5年間の事業によりどのくらいの省エネ効果が見込めたのか、伺います。
以上、1回目の質問とさせていただきます。
7 ◯総務局長(池谷眞樹君)
非常勤職員の現状と、
公衆無線LANについての3点の御質問にお答えいたします。
最初に、
非常勤職員についての考え方ですが、平成27年4月に策定した
職員適正配置計画において、
非常勤職員の活用を掲げています。この計画では増員すべきは増員し、減員すべきは減員するというシェイプアップに重心を置き、事務事業の見直しなどにより生み出された人員を、新たな行政需要などに再配分することに取り組んでいます。
第3次総合計画にスピード感を持って対応していくために、これまで以上に選択と集中の視点に立って、貴重な経営資源である人材を、最大限有効に活用していく必要があります。
そこで、
職員適正配置計画では、事務の種類や性質に応じ、多様な任用形態・勤務形態の職員を活用し、組織にとって最適な人員構成により、効率的な行政運営を行うことも取り組みの一つとしています。このような考え方に基づき、補助的な事務や定型的な事務については、業務を必要とする期間などを勘案し、
非常勤職員を配置しております。
次に、
非常勤職員の人数についてですが、本年4月1日時点の人数は、全体で1,936人、職員数の約24%となっております。具体的な配置分野についてですが、全庁的に庶務事務などの定型的業務に配置しているほか、区役所や
福祉事務所等における受付・相談業務に多くの職員を配置しております。また、こども園等における保育業務や小中学校等における
学校事務業務、調理員業務にも配置しているところです。
続いて、
非常勤職員の任用における課題についてですが、
非常勤職員の任期は、原則1年であり、一定の期間においては再度の任用は可能ですが、より安定的な雇用を求める傾向から、近年、各業務における選考試験の応募者数が減少し、年度途中で離職する職員も多いため、必要な職員数の確保に苦慮している状況になっております。
次に、「
Shizuoka Wi-Fi
Paradise」の進捗状況と課題、及び今後の取り組みについてですが、本市では、
公衆無線LANを魅力ある都市に必要不可欠な
情報インフラと捉え、
静岡商工会議所、静岡市
まちづくり公社、
静岡観光コンベンション協会、
NPO法人静岡情報産業協会と共同し、静岡市
公衆無線LAN事業協議会を設立し、平成25年に
公衆無線LAN事業「
Shizuoka Wi-Fi
Paradise」をスタートさせました。この事業は、
店舗オーナー等が費用を負担して、
アクセスポイントを整備するものです。当初の目標は3年をめどに100カ所整備することでしたが、平成27年度末で市内330カ所に整備され、目標を大幅に上回るものとなっております。葵区役所1階にも整備されていますが、ここを利用した外国人の方がLINEで自宅に連絡がとれ、大変喜ばれたと話を聞いております。
次に、課題ですが、
公衆無線LANが必要と判断された店舗等への整備は、ほぼ一巡したものと考えられます。これまでのようなスピードでの増加は見込みにくい状況です。その一方で、2019年
ラグビーワールドカップ、2020年
東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、急増する
外国人観光客への対応の一つに、
公衆無線LANのさらなる整備が必要と考えられます。これまでは
アクセスポイントを点として整備してまいりましたが、一歩進めて、面的に整備する必要性が高まっております。
そこで、今後の取り組みですが、「
Shizuoka Wi-Fi
Paradise」を引き続き推進するとともに、各局と連携して整備箇所や整備手法を含め、
公衆無線LANのさらなる普及促進策を検討していきたいと考えております。
8
◯観光交流文化局長(木村精次君)
公衆無線LANの観光政策への活用についての2点の御質問に、あわせてお答えいたします。
ただいまの総務局長の答弁のとおり、
アクセスポイントを面的に整備する必要性が高まっており、普及促進策を検討しているところですが、急増する
外国人観光客に早急に対応するため、どこでもつながる通信環境を確保することができる、
モバイルWi-Fiルーターの
無料貸し出しを、平成27年11月より開始いたしました。
貸し出しの実績は、11月からの5カ月間で568台、1カ月の
平均貸し出し台数としては約114台となっており、利用者の約8割がアジア圏からの旅行者でありました。利用者からは、使いやすい通信環境として高評価を得る一方で、
貸し出し場所である静岡駅北口の観光案内所を訪れた際に、初めてこのサービスを知った方が利用者の約半数を占めるなど、サービスの認知度向上が課題となっております。
そこで、海外の旅行博、商談会でのさらなる周知活動や、ウエブ上での情報発信など、さまざまな機会を捉えて周知に努めてまいります。
次に、本市の観光施設における課題と、これからの取り組みについてですが、現在、本市では県中部の4市2町と
観光まちづくり推進法人であるDMOの形成を目指すとともに、二峠六宿に伝わる歴史や文化等の地域資源を生かし、街道観光の推進、特に日本の歴史や文化に関心の高い、欧米からの
外国人観光客の誘致拡大を目指しているところであります。
そこで、街道観光の拠点となる施設、とりわけ市の所管する観光施設については、多言語化はもとより、
Wi-Fi環境の整備を進めてまいりたいと考えております。
本市としましては、今後も増加が期待される
外国人観光客の
受け入れ環境の整備に努めてまいります。
9 ◯市民局長(海野耕司君)
防犯灯LED化事業の進捗状況と、省エネ効果についてお答えいたします。
防犯灯LED化事業は、ただいま議員の御質問の中で御説明がありましたとおり、平成24年度から28年度までの5年間で、自治会、町内会が所有する防犯灯約4万2,000灯のうち、まずはその半分をLED化する計画です。
この事業は、1灯当たりの補助率が3分の2、補助限度額が2万円で、自治会、町内会がLED化するには約9,000円の自己負担が必要となります。このため、LED化を推進するためには、自治会、町内会の皆様方に多大な御理解と御協力をいただいております。
進捗状況は、市内全体では27年度末までに約1万7,000灯、4割のLED化を達成し、28年度末までには約2万1,000灯が計画どおりLED化できる見込みです。
この各区ごとの内訳は、葵区が8,000灯、LED化率が59%、駿河区が6,000灯で57%、清水区が7,000灯で38%となっております。
次に、5年間の
LED化事業による、29年度以降の単年度当たりの省エネ効果といたしましては、電気料金では年間約3,450万円、消費電力量では約124万キロワットアワー、
CO2排出量では約585トンの削減を見込んでおります。この削減量は一般家庭の
年間消費電力量に換算しますと約280世帯分、
CO2排出量では約120世帯分に相当いたします。
〔4番山梨 渉君登壇〕
10 ◯4番(山梨 渉君) 御答弁ありがとうございました。
初めに、非常勤職員の確保について、伺ってまいります。
静岡市の
非常勤職員が、職員全体の24%を占めるということ、職員の確保について課題があることが確認できました。課題解決のためには
非常勤職員の待遇改善について、具体的に検討することが必要と考えます。
総務省は、平成26年7月に「臨時・
非常勤職員及び任期付職員の任用等について」との通達を出しております。この中で任期等の設定について、このような記述がございます。「再度の任用の場合であっても、新たな任期と前の任期の間に一定の期間を置くことを直接求める規定は
地方公務員法をはじめとした関係法令において存在しない。」「また、募集にあたって、任用の回数や年数が一定数に達していることのみを捉えて、一律に応募要件に制限を設けることは、平等取扱いの原則や成績主義の観点から避けるべきであり、」「均等な機会の付与の考え方を踏まえた適切な募集を行うことが求められる」とあります。
現在、本市は、
非常勤職員募集の一部に制限をつけております。
非常勤職員が2年目以降、雇用継続がなされた場合でも最長5年までとし、6年目は
受験応募資格がなく、再度雇用を求める場合については、1年間あけて応募しなければならないとの内容です。平成26年11月議会で、優秀な人材が他都市へ流出しているのではないかという懸念から、
非常勤職員である学校司書の5年雇いどめについて、考えを伺う質問をさせていただきました。その際は、取扱要綱に基づいて任用しているとの御答弁でありました。多くの方に応募の機会を与えるとの考え方もできますが、継続希望者にとっては、均等な応募機会が奪われることになります。
非常勤職員確保の課題を解決するためには、こうした制限についての改善を初め、応募しやすい勤務条件や応募要件とする必要があると思います。今後、本市は
非常勤職員の確保に当たっての課題について、どのような対応を考えているのか、伺います。
続いて、
防犯灯LED化事業についてであります。
先ほどの御答弁では、各区のLED化率は葵区が59%、駿河区が57%、そして清水区が38%と、清水区が20%ほど進捗がおくれていることがわかりました。20%は大きな差であると思います。もちろん葵区、駿河区の自治会、町内会からも多くの要望が寄せられていると伺っております。清水区の自治会からは、平成27年度、新設要望に対し約30%、取りかえ要望に対し約69%の実施率にとどまっております。清水区の大幅な進捗のおくれは、市全体の進捗にも影響するとともに、3区の公平性の観点からも十分な考慮が必要と考えます。この清水区の
LED化進捗状況についてどう考えるのか、伺います。
LED化率は、清水区だけは未達成ですが、市全体としては目標の50%を達成する見込みであります。住民の
防犯灯設置要望に対し、限られた補助枠の中で苦慮する自治会長の声を数多く聞きます。依然高い設置要望も踏まえ、来年度以降、本事業にどのように取り組んでいくのか、伺います。
以上、2回目の質問とさせていただきます。
11 ◯総務局長(池谷眞樹君) 非常勤職員の現状についての御質問で、非常勤職員の確保への対応についてです。
本市の現在の
非常勤職員の募集においては、採用後、再度の任用を繰り返し、任用の回数や年数が上限に達した者については、一定の期間を経過していなければ、新たな選考試験を受験できないという制限を設けております。これは同一の者が長期にわたって繰り返し任用されることによる身分の固定化を防止し、新たな雇用の創出を図る目的で行っています。
しかしながら、選考試験の応募者数の減少や、離職者の補充が課題である中、平成26年7月の総務省通知において、議員御指摘のとおり、
非常勤職員の募集にあっては、均等な応募機会の付与について留意が必要と助言されたことを受け、本市においても
非常勤職員の受験資格を見直すことが、応募者数の確保について有効であると考えています。そのため今後は受験資格の見直しを初め、処遇面を含めた任用のあり方について、国の動向も注視しながら、検討していく必要があると考えています。
12 ◯市民局長(海野耕司君) 清水区の
LED化事業の進捗率ですが、この事業を開始した平成24年度における区ごとの
設置防犯灯数が、葵区約1万4,000灯、駿河区約9,000灯に比べ、清水区は約1万7,000灯と防犯灯数が一番多かったことから、結果的に進捗率が葵区、駿河区より低くなっております。
なお、区ごとの配分灯数は、各区の広報紙配布世帯数を参考に、例年予算の範囲内で、前年度の実績などを考慮して決めております。
今後の取り組みにつきましては、現在、自治会、町内会宛てに29年度から31年度までの、今後3カ年における
LED化事業の意向調査を行っており、この調査結果と、これまでの進捗率をもとに29年度以降の事業計画を作成し、積極的に
LED化事業を進めてまいります。
〔4番山梨 渉君登壇〕
13 ◯4番(山梨 渉君) 御答弁ありがとうございました。
3回目は意見・要望です。
非常勤職員についてです。
非常勤職員の労働内容に見合った賃金の考慮、特に専門性の高い職種の待遇には、人材確保と事業の継続性の観点からも、改善を検討していただきたいと思います。先ほどの御答弁では、
非常勤職員の6年目の受験資格の見直しについても言及していただいたと思います。検討するということでありました。ぜひ見直しをお願いしたいと思います。
公衆無線LANの整備についてであります。
大規模災害時に避難所でインターネット、電子メールを使えるようにするために、学校を初めとした避難所に整備を進めていただきたいと思います。
総務省、文部科学省は2020年までに、全国の全ての小中、そして高校まで無線LANを導入する方針との報道がありました。これは教科書の内容をタブレット端末などにおさめたデジタル教科書、これの普及に向けた取り組みで、導入費用の半分を補助する内容だそうです。こうした取り組みを積極的に検討していただきたいと思います。これにはまず教育委員会が検討し計画を定める必要があり、災害時の対応として危機管理総室との協議も必要です。
このように
公衆無線LAN整備に関しては、整備の必要性の高い場所は所管が複数の局にまたがることもあります。確かに市内の
公衆無線LANは着実にふえております。これは官民協働の努力のたまものと思います。
課題として、設置が一部の地域や民間事業者の意向に沿った整備に偏り、地域全体の整備エリアの均衡に欠ける傾向があると思われます。市が希望する場所に必ずしも設置されているわけではありません。
一方で、市所管の観光施設については、重要性がはっきりしているにもかかわらず、整備の具体像が見えておりません。今後、
公衆無線LANの整備に関して、全庁的な整備方針、計画を検討するべきと思います。
最後に
防犯灯LED化事業についてです。
現在実施中のアンケートをもとに計画を作成し、来年度以降も積極的に事業を進めるとの御答弁でありました。早期に100%を目指すくらいの意気込みのある御答弁も期待しておりましたけれども、将来のLEDの取りかえ時期を見越して、ある程度年度ごと平準化した事業展開も考慮して、また計画の策定に当たっては、高い市民ニーズをくみ取っていただき、
LED化事業の加速をぜひお願いしたいと思います。
特に清水区の進捗がおくれておりますので、清水区がちょっぴり暗いということだと思うのですけれども、取り残されないように重ねてお願いをしまして、質問を終わります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
14 ◯議長(栗田裕之君) 次に、石井孝治君。
〔5番石井孝治君登壇〕
15 ◯5番(石井孝治君) おはようございます。
志政会の石井孝治でございます。
それでは、通告に従いまして、質問させていただきます。
今回は大項目で2つ、1つ目はJR静岡駅南口のさらなる発展について、2つ目は、オープンデータの活用についてであります。
初めに、JR静岡駅南口周辺の整備について伺ってまいります。
静岡駅は1日約12万人が利用する駅として、JR東海の中でも屈指の駅であります。また、交通の結節点として、バスやタクシー、徒歩を合わせると、駅周辺を利用する人たちはさらに多くなります。
これまでにも静岡駅周辺は本市の中心として、さまざまな開発が進められてまいりましたし、現在もまだ進行中であります。特に北口におけるここ10数年の変化は目覚ましく、葵タワーを初めとして、セノバや呉服町タワーなどの開発から駅北口のロータリー整備など、目まぐるしく変化しております。また、ソフト面におきましても、田辺市長が推進する「まちは劇場」プロジェクトを例にとっても中心市街地として、本市の顔としてのスペースを有効に活用した、にぎわいづくりの演出がされてきております。
一方、南口においては、来年で竣工20年になりますサウスポットや、静岡科学館「る・く・る」が入っているエスパティオ、本年には駿河スカイタワーが竣工され、ゆっくりとではありますが、まち並みは変わりつつあります。
あえてカテゴリー分けをしてみますと、よく市民の方から言われる、北口はおまちといった非日常、南口はどちらかというと住宅が駅周辺まで密集しており、生活を中心とした日常のまちであるとともに、観光バスの発着やレンタカーの営業所などが多く、ふだん生活するまちとしてだけではなく、市外の方々が初めており立つ場所といった、さまざまな顔を持っているのが南口であります。
その静岡駅南口をどのように整備をしていくかが今後の南口周辺、ひいては駿河区の発展、そして本市の発展にもつながってまいります。そういった意味では、現在の南口駅前広場、主にこれはロータリーのことですが、現状としては望ましい状況にはないと思います。
先ほど交通結節点としての役割を持つと言いましたが、例えば北口はロータリー整備が進み、公共バスとタクシー、乗用車のすみ分けが既にできております。また、竹千代君像周辺は憩いの場としてのスペースが確保されており、待ち合わせやイベントにも活用されております。
一方、南口はどうしても現在のロータリーではスペースに限りがあり、そのために公共バス、タクシー、乗用車が同じ出入り口を使用し、ロータリーを共有しております。さらに言えば、それ以外の通学用のバス、また観光バスは、ロータリーから南へ出た車道へ駐車して乗りおりしている状況です。よく団体の観光客がロータリーを回り、信号を越えてバスがとまっているところまで誘導されていく姿を拝見しますが、大変不便であると思います。これでもし雨でも降っていたら、傘を差し重い荷物を持ってバスまで行く間に、何でこんなところに来たのかなと思う人だっているかもしれません。
市民においても大型バスなどが1車線を占有することにより、交通の安全面にも問題があります。もちろん大きなイベントを行えるだけのスペースもありません。目立った商業施設もなく、にぎわいづくりの要素は欠落している状況であります。
その上で2点伺いますが、南口の整備については、快適な環境づくりや安心・安全の観点からも、まずは道路整備においては優先的に考えるべきであり、道路整備がまちづくりの基本になります。
そこで、静岡駅南口周辺整備事業における道路整備の進捗はどのような状況でしょうか。
また2点目は、現在のロータリーの狭さ、混雑状況、使いにくさを踏まえ、静岡駅南口駅前広場の課題をどのように捉えているか、お聞かせください。
続いて、大項目2のオープンデータの活用について伺います。
本市において、昨年度はオープンデータ元年といったものでした。国が策定した世界最先端IT国家創造宣言に基づいて、本市のオープンデータの推進に関する指針が策定され、データの利活用を念頭に、各部局が持つさまざまなデータを提供することとされ、市民生活の向上や、企業活動の活性化及び社会経済の発展に寄与することが、目的として明確に設定されたところであります。
実績としてもオープンデータカタログサイトを開設し、300種類を超えるデータを公開したこと、そして公開するだけでなく、そのデータを活用してもらうことに重点を置いた「シズオカアプリコンテスト」を開催するなど、本市は全国的にも最先端を行く行政として注目されました。
オープンデータの難しいところは、ただデータを出せばいいというものではなく、どのようなデータをどういった形式で提供し、最終的に活用してもらうことで初めて市民の利益になる点です。そういった点では、なかなかデータを公開することによる効果やメリットが見えづらいこと、またどのようなデータが必要とされているかの把握が難しいことが課題として上げられております。しかし、オープンデータ活用を推進するためにも、まずは行政がデータを提供していくことが肝心であると考えますが、現在のデータの提供状況はどのようでしょうか、お答えください。
先ほどの「シズオカアプリコンテスト」では、実際に使えるアプリや、活用構想のアイデアを含め116件の応募がありました。オープンデータを推進する、よいきっかけになったと思います。その中では、AEDの設置場所を探すことができるアプリや防災に関するもの、子育て支援に活用できるものなど、多岐にわたるジャンルのアプリが入選されました。活用を促す施策としては、このようなイベントは最適であり、データを活用してもらうことを奨励していくべきではあると考えますが、現状のオープンデータの活用状況はどのようになっているのでしょうか。
また、活用促進のためには、利用者が求めているデータを公表していくことが不可欠であります。それには利用者のニーズの把握が必要でありますし、一方で、本市にどのようなデータがあるのかの把握も必要不可欠であります。それとともに、本市がオープンデータに取り組んでいることを周知することも肝心であります。そのようなことも踏まえて、実際に本市のオープンデータを活用している利用者の反応はどのようなものか、伺います。
以上で1回目とします。
16 ◯都市局長(塚本 孝君) JR静岡駅南口周辺の整備について、2点お答えいたします。
初めに、静岡駅南口周辺整備事業における道路整備の進捗状況についてですが、静岡駅南口周辺の安全かつ快適な歩行空間を確保し、回遊性や駅利用者の利便性向上を図るため、駅前広場に隣接する東西道路の市道泉町豊原町線の2カ所で整備を進めております。
現在の進捗状況ですが、駅南口では本年2月に再開発事業により駿河スカイタワーが竣工し、また1つ、新たなまちのシンボルが生まれました。この駿河スカイタワーの竣工にあわせ、北側の道路約70メートルの区間について平成24年度に着手し、電線類の地中化や再開発事業と一体となった歩道拡幅を完了いたしました。
もう1カ所は、ホテルセンチュリー静岡北側の道路で、延長約130メートルの区間について、現況幅員14メートルを22メートルに拡幅し、北側の歩道整備に向け、本年度から事業用地の取得に着手いたしました。
次に、静岡駅南口駅前広場の課題についてですが、駅前広場は、交通結節点として駅を利用する多様な交通を円滑に処理するための機能のほか、都市の広場として、まちの顔となる景観形成や、にぎわいを生む交流機能などを有しています。
静岡駅南口駅前広場は、平成5年度に整備したもので、その後の駅利用の自動車や歩行者の交通量の増加に伴い、課題が生じております。主な課題は3つ上げられます。
1つ目はバス、タクシー、一般送迎車などにより広場内交通がふくそうしていること。2つ目は歩行空間にゆとりがなく、タクシーやバス待ちの利用者と通行者が錯綜していること。3つ目は人々が憩い、集うためのオープンスペースが少ないことです。
17 ◯総務局長(池谷眞樹君) オープンデータについての、3点の御質問にお答えいたします。
最初に現在のデータの提供状況についてです。本市では行政の透明性・信頼性の向上、行政運営の効率化、新産業、新サービスの創出による経済の活性化などを目的に、静岡市オープンデータ基本方針を定め、平成27年10月にオープンデータ専用のポータルサイトを開設してデータを提供しております。
28年5月末現在で、366種類、総数では4,743のデータを提供しております。
次に、オープンデータの活用状況についてです。サイトの開設から約7カ月の累計で、アクセス件数は約31万3,000件、ダウンロード件数は約2万9,000件です。月平均にしますとアクセス件数は約4万4,700件、ダウロード件数は約4,100件となっています。オープンデータを活用した事例は、地震などの災害時に一番近い避難所に誘導するアプリや、全国の広報紙の記事を容易に見ることができるウエブサイトのほか、6件が報告されております。
また、オープンデータの活用を促すため、昨年度、「シズオカアプリコンテスト」を開催し、アプリやアイデアの募集を行いました。全国から69のアプリの応募作品が寄せられました。これらの作品の中から、地図上にこども園、子育て支援センター、児童館などの子育て施設を表示して、子育て世代を支援する、しずいくマップが最優秀賞を受賞しております。
次に、利用者の反応についてですが、ダウンロード数で見ますと、一番多いデータは、飲食店などの開店情報を知ることができる食品衛生関係営業許可台帳で、グルメ情報誌の取材などに使われているものと思われます。
2番目は、固定資産税課が提供した航空写真で、利用した方からは、業務に役立ってありがたいという声をうかがっております。
交通上の危険を感じた場所を示した、ヒヤリハットマップもダウンロード数が多く、市民生活に役立っているものと思われます。
また、一般財団法人日本情報経済社会推進協会のオープンデータの取り組みに関するランキングでは、平成27年8月にオープンデータを公開していた全国の110の市町村で5位、政令指定都市で1位となり、講演会やセミナー等でも、本市の取り組みが先進的な事例として紹介されるなど、高い評価を得ております。
〔5番石井孝治君登壇〕
18 ◯5番(石井孝治君) それでは2回目にまいります。
まずは駅南口周辺整備からであります。
南口駅前広場についての課題として、狭さや車両の混雑、また、歩道の狭さ、そういったものを認識していただいていることが確認ができました。ではそれを、今後どのように解決していくかになります。
御承知のように、現状の駅前広場では、面積に限りがあります。現状の面積のままでスペースをふやすためには、広場を複層にするしかありませんが、駅舎や駅ビルを建て直すぐらいのことを同時に考えなければ、現在のつくりにより、現実的ではないと思います。そうすると、横に面積をふやすほうで考えるのが一番可能性のある案となります。
現在の駅前広場西側には、JR東海静岡支社、東側には静岡交通ビルと遊戯施設、そのさらに東奥には平面の駐車場が広がっております。こういった、今後開発される可能性のある区画を有効に活用していくことを考えるべきであります。
そこで重要なことは、本市が駅前広場をどのように整備したいのか、ひいては駅南口周辺をどのようなまち並み、まちづくりをしたいのかを、繰り返しになりますが、明確なビジョンとして打ち出すことであります。
もちろんそれぞれに地権者の方がおられて、一朝一夕に進む話でないのは理解しております。民間であるからこそ、利益を出すことが求められますので、何もしないでおくと、例えば利益率の高い駅に直結したマンション複合施設という、よくあるパターンの選択肢の方が現実味があります。しかし、それでは現状は変わりません。今ある建物の場所に違うものが建つだけで、課題も解決されませんし、スペースの有効活用もままなりません。本市がその区画をどのように整備していきたいかを示すことによって、売却なのかそれとも共同で開発なのかはわかりませんが、一歩踏み出すきっかけにはなると思います。
特に駅東側の区画については、現状の駐車場を含め、整備が可能になると活用の幅がぐっと広がります。グランドデザインという言葉が正しいのかはわかりませんが、南口駅前広場をどのように整備していくかのグランドデザインが今こそ必要であると考えます。
そこでお伺いしますが、静岡駅南口駅前広場の再整備に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのかをお答えください。
続いて、オープンデータについての2回目の質問です。
本市のみならず、オープンデータの活用を推進している自治体が提供しているデータのほとんどは、一定期間に集められたデータであり、そのデータの更新も、随時というものもありますが、年に1回であったり、数カ月に1度であったりといった更新頻度であります。しかし、そのデータを使う側としては、必要なデータを時差なくリアルタイムで活用できることが理想であります。
オープンデータにおける本市での代表的な取り組みとしては、道路通行規制情報サイトしずみちinfoが上げられます。昨年度、一般社団法人オープン&ビックデータ活用・地方創生推進機構の2015年度表彰にて最優秀賞を受賞されました。これはトヨタIT開発センターと協働した取り組みが評価されたものであるとうかがっております。そして、この成果として、自治体では初めてリアルタイムでオープンデータを提供するサービスが導入される予定です。リアルタイムで活用することによって、例えば道路の冠水状況の情報をカーナビゲーションに反映させ迂回をさせたり、逆に車両のスピードや停止状況による渋滞情報や、ワイパーの稼働状況による短時間局地集中的な豪雨情報など、道路状況をしずみちinfoに反映することなどが活用として考えられます。
このようなオープンデータの活用を今後も進めていくためには、オープン化するデータの選択、提供数の拡大、提供するファイル形式の検討が重要で、公開要望のあるデータを、スピード感を持って提供することが必要だと思います。しかし、本来であれば、どのようなデータを公開し、どのような活用方法をとるのかは、本市が考えることではなく、これはあくまでも本市が持つ情報は税金で作成した公共資産であるので、個人を特定する情報以外は全てオープンし、活用については住民や企業の権利として任せるべきであると考えております。
繰り返しになりますが、本市がするべきことは、速やかにデータを活用しやすい形式で提供していくことであります。
そこで伺いますが、本市においてオープンデータの提供を、今後どのように広げていくのでしょうか。
オープンデータの活用促進のためには、自治体の情報だけでは十分でありません。民間企業が持っているデータをあわせることによって、さらに市民にとって有益な情報となり得ます。そのようなオープンデータのさらなる深化を図る取り組みを、国は国家戦略に位置づけ、オープンデータ2.0としました。いわゆるデータの活用をバージョンアップするということです。
企業などが保有するデータの組み合わせによる、さらに付加価値の高い活用や、課題解決型のオープンデータ推進の実現を目指して、2020年までを集中取り組み期間と定め、政策課題を踏まえた強化分野を設定し、さらなる深化を図るとしております。
先ほどのしずみちinfoでも、本市と企業のデータを掛け合わせることによって、さらに精度の高い情報を提供することができました。そして、そのように本市としてもさらにオープンデータ2.0を推進していくべきだと思いますが、そのためには、民間の持つデータを開示してもらう取り組みが必要であると考えます。
そこで、本市における民間のデータ提供状況はどのようなものか、またデータ提供を促す施策はどのようなものか、伺ってまいります。
本市がオープンデータを推進していくに当たっての基礎となるのが、組織的な取り組みであります。オープンデータが注目を浴び始めた当初に行われたある自治体への調査によると、問題点としては、必要性や意義、将来性が理解されておらず、組織全体の意識を高められない、オープンデータがもたらす効果が不明である、データの悪用や改ざんに不安がある、負担がふえるなど、さまざまな問題が上げられております。このような問題点を解決するためには、職員の皆さんにオープンデータについての理解を深めていただくほかにはありません。理解を得た上で、職員がオープンデータを活用できるような能力を身につけてもらうことが理想ですが、まずは市民に活用してもらうことにより、地域の中にある課題の解決にもつながっていくことが可能でございます。それにはもちろん、市長を初めとする行政トップの理解を得ることが大前提であります。
そこで伺いますが、オープンデータ活用促進へ向けて、職員にどのような研修を行うのかを伺って、2回目といたします。
19 ◯都市局長(塚本 孝君) 静岡駅南口駅前広場再整備に向けての今後の取り組みについてですが、駅前広場の再整備については、交通結節機能の強化や、都市の広場機能の充実に向け、駅前広場の拡張の可能性を検討するために、隣接する関係地権者への意向確認を行っております。
今後も引き続き、駿河区の玄関口としてふさわしい駅前広場となるよう、関係地権者に理解を深めていただくための説明や、関係機関と協議調整を行いながら検討を進めてまいります。
20 ◯総務局長(池谷眞樹君) オープンデータについての3点の御質問にお答えいたします。
最初に、オープンデータの提供を広げていくことについてですが、これまで庁内関係課のプロジェクトチームにより、オープンデータの推進指針を策定し、提供可能なデータをリスト化して、要望があったものから優先にオープンデータ化して公開してきました。今後、提供を拡大するために、データを保有する所属への働きかけを積極的に行い、可能なものから順次整備します。また、汎用性が高く、機械判読が容易なデータ形式での公開に取り組んでいきます。
次に、民間データの提供状況についてですが、現在のオープンデータは、市の保有するデータのみで、民間データは含まれておりません。しかし、本市のオープンデータ基本方針では、「オープンデータの活用については、産学官で連携し、オール静岡の体制で取り組む。」としております。
また、国のオープンデータ2.0の方針でも「民間企業等におけるオープンデータ的な取組についても一定の範囲内で協力を依頼」するとしていますので、国の動向を把握し、本市としてもできることは積極的に取り組んでいきたいと考えています。
次に、職員の研修についてですが、これまで一般職員向けには、オープンデータの基礎的な知識に関する研修を、情報化推進担当者には、オープンデータを公開するために必要な技術的な研修を実施してまいりました。平成28年度はオープンデータと地理情報システム(GIS)を使ったデータ活用研修を実施いたします。研修では、地区別、年齢別の人口を地図上に表示するなど、データを可視化する手法を学ぶことで、職員が地域課題の解決等にオープンデータを活用する能力を磨いていきたいと考えております。
〔5番石井孝治君登壇〕
21 ◯5番(石井孝治君) 3回目は意見・要望です。
まずは静岡駅南口駅前広場の再整備についてですが、拡張検討に当たり、関係者や機関などと協議を進めていくとのことでしたので、ぜひ積極的に進めていっていただきたいのですが、ちょっと順番が違うのではないかなと思います。答弁を聞いていますと、用地を取得できるのであれば広場を拡張するよというふうにもとれます。それでは余りにも計画性がなく、言葉はちょっときついかもしれませんが、無責任だと思います。用地を確保してからどのようなものをつくるのかではなく、目指すべき姿があって、そのために必要な対策を講じていくことが必要ではないでしょうか。ぜひ、その順番をしっかりと認識していただいて、この静岡駅南口の再整備を進めていっていただきたいと思います。
その上で、東側の区画ですが、拡張したスペースでバスターミナルを整備していくべきだと私は考えます。付随して、商業施設、オフィス、ホテル、住居の併設などでもよいと思います。とにかく、公共バス、観光バス、その他のバス、自家用車、タクシーそれらを区別することにより、安全に運行ができるようにすることが重要であり、その上で、歩行者の安全と空間の確保を考えて整備を検討していただきたいと思います。それとともに駅前広場を含めた南口周辺を、どのようなまちづくりを進めていくかのグランドデザインをぜひ考えていただきたいと思います。
オープンデータについてですが、今回質問では取り上げませんでしたが、オープンデータの活用がさらに進んでいくためには、もう1つ条件があります。それはデータを活用していかにビジネスにつなげていくかであります。自治体や企業が出すデータを活用して、いかに需要のある情報を民間が市民に提供することにより、利益を生み出すビジネスをつくっていけるかが鍵となります。新たな産業の創出といった面でも本市にとっては非常に重要な取り組みであると考えます。
質問の中にも取り上げましたが、昨年度、「シズオカアプリコンテスト」を開催しました。これからはそれを一歩進めて、オープンデータを活用するためのイベントの成果を、ビジネス展開に向けて支援する取り組みへ変えていくことが必要であります。そのためには、現在オープンデータに取り組んでいるICT推進課だけでは荷が重い事業であります。ビジネス展開といった意味ではもちろん経済局も関係してきますし、幅広い目で見ればデータを提供している部局は、全て関係があると言っても過言ではありません。そういった意味で、このオープンデータの推進においては、部局を越えた協力体制が必要な取り組みであるとの認識を、まずは幹部の皆様に持っていただいて、取り組んでいただきたいと思います。
せっかく先進都市として注目を浴びている事業でありますので、引き続きフロントランナーとして、先行逃げきりで他都市を引き離す気概で取り組んでいただくことを要望し、全ての質問を終わります。ありがとうございました。
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22 ◯議長(栗田裕之君) 次に、池邨善満君。
〔16番池邨善満君登壇〕
23 ◯16番(池邨善満君) それでは、通告に従い質問いたします。
今回は入浴着の着用について、そして、中小企業支援策についての2つでございます。
最初の質問は入浴着の着用についてですが、この質問は市民の方からの問い合わせがきっかけです。静岡市内の温泉施設等で入浴着の使用、着用はできますかとの問いに対して、私自身はすぐに答えられませんでしたので、調べてから連絡するとお伝えいたしました。
まず、入浴着について少し説明させていただきたいと思います。
お手元の資料、岩手県の「入浴着を着用しての入浴にご理解をお願いします」というチラシをごらんいただきたいと思います。
入浴着とは、乳がん手術など、傷跡が残る手術を受けられた方が、ほかの方の視線を気にすることなく入浴を楽しめるように、専用に開発・製造された入浴用の肌着のことであります。材質はナイロンとポリウレタンやポリエステルなど、肌触りのよいソフトな素材で、速乾性にすぐれており、繊維自身に消臭機能つき素材が使用されているものもあるとのことです。石けん成分などをよく洗い流すなど、清潔な状態で使用される場合は、衛生管理上問題ないとされております。
入浴着に関係する国の法律、通達を見てみますと、厚生労働省健康局生活衛生課から平成27年2月12日告示23号で浴場業の振興指針が改定され、通知がなされています。その第3に「浴場業の振興の目標に関する事項」が記されており、1「営業者の直面する課題と地域社会から期待される役割」の項目が設けられるなど、「営業者及び組合等において本指針が十分に活用されることを期待するとともに、新たな衛生上の課題や経済社会情勢の変化、営業者及び利用者等のニーズを反映して」改定するものとされております。これは社会全体の少子高齢化の進展や、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」がことしの4月に施行されており、これを受けてのことだと理解しております。
障害者差別解消法では、障害を理由として、正当な理由なく、サービスの提供を拒否・制限したり、条件をつけたりするような行為や、不当な差別的取り扱いがないように配慮することを求めています。そのため、公衆浴場等では、全ての利用者が施設を円滑に利用できるよう、ソフト・ハード面におけるバリアフリー化、及びユニバーサルデザイン化への取り組みや、入浴着を着用した乳がん患者等への配慮が求められています。
入浴着への理解等の現状を見てみますと、他都市の状況では、大阪府、さいたま市、岩手県、山梨県、広島県、滋賀県、神戸市、岐阜県などホームページ上で入浴着着用への理解を求める取り組みが行われていることがわかります。
静岡県内については、静岡県は6月10日にホームページに掲載されています。静岡市を除く22市については、ホームページを入浴着という言葉で、検索しましたが、ヒットしませんでした。静岡市は6月15日に掲載されていまして、私が質問の通告をしたのが6月15日の8時45分なので、通告後すぐに掲載していただいたようです。
また、静岡市議会会議録検索システムでは、入浴着のキーワードではヒットしませんでした。
ここでお伺いいたします。
市の入浴着の使用に対する認識と、これまでの周知の取り組み、及び市営の公衆浴場の現状はどのようになっているのか、お伺いいたします。
2つ目の質問は、中小企業支援策についてです。
戦略産業振興プラットフォームによる支援の平成27年度の取り組みについてお伺いしたいと思います。
中小企業支援の取り組みについて、実務支援を行う現場を見ることができました。これはぜひ、静岡市でも取り入れていただきたいとの思いで質問を進めてまいります。
静岡市の課題の一つに人口減少対策があります。人を集めるためには、総合戦略で示されたとおり、「「しごと」を産み出し、雇用を増やす」ことが必要であります。そのためには本市の強みを最大限に生かす必要があるということは、共通の認識だと思います。
戦略産業振興プラットフォームでの取り組みは、産業振興策の一つとして進められており、産業振興の方向性は3つ示されています。
1つ目は「本市の強みを活かし、社会経済環境の変化に対応しうる「戦略産業」を選び、ヒト・モノ・カネを集中的に投入したプロジェクトにより更なる成長を促す」。
2つ目に、「職員や支援施設スタッフ等が支援対象企業に積極的に関わり、「戦略産業振興プラットフォーム」を活用し、あらゆる事業・制度を駆使することより効果的な支援を行う」。
3つ目に、「生涯にわたる人材育成、企業側の受入体制の整備促進、人材と企業のマッチングを進めることにより、「人材の育成・確保」を行う」とあります。
厚生労働省は、「地方創生・人口減少克服に向けた対策」として、「少子高齢化の進展により生産年齢人口が減少していく中で、我が国が持続的に成長していくためには、これからの社会を支える若者が、それぞれの地域で活躍しその能力を有効に発揮できるよう、若者の雇用対策に取り組む必要」があり、「国、地方自治体、事業主等、関係者が連携し、総合的かつ体系的に若者雇用対策に取り組む体制を構築」することが必要とされております。
企業が抱える課題、企業ですから必ず経営課題はあります。悩みは大きく5点あると考えております。また、それぞれでの支援が必要になってくると思います。
1つ目は売り上げが伸びない。これは企業にとって一番の悩みであり、改善するためには仕事内容や営業のやり方の見直し、ビジネス上のパートナーをいかに見つけるかなどの課題を解決するための支援が必要であります。
2つ目に、コストがかかり過ぎる。収益を上げるためにコストを見直すことはとても重要です。ただ、実際にどのように改善すればよいのか、何から始めたらよいのかなど、悩む方も多いはずです。専門家への相談、設備の省エネ化、工場管理の見直しなどの支援が必要であります。
3つ目に、後継者や幹部の育て方がわからない。これについては人材育成支援。
そして4つ目に、運転資金がどうにかならないか。これについてはきめ細かな補助金制度の創設などが必要になってきます。
そして5つ目に、パートナーをどのように探せばよいのか。会社が成長し発展するためには、ビジネスを取り巻く環境の変化を先取りして、常に新たな分野に進出することが求められています。しかし、どの分野に進出するのか、どの分野にどんなリスクがあるのか、どんなアプローチをすればよいのかなど、多くの課題があるため、ここに支援が必要だと考えます。
このように実務の支援が必要ではないかと思います。
本市は個別企業に対して、戦略産業振興プラットフォームなどにより産業、大学、金融、行政が連携して徹底的に支援する。あわせて、創業支援を積極的に推進することにより、雇用の場を創出する。また、地域の強みである製造業に対する支援強化とともに、地域に根づく地場産業に対する支援を実施するとしています。
ここでお伺いいたします。
戦略産業振興プラットフォームによる、平成27年度の支援分野と実績はどのようになっているのか、お伺いいたします。
以上、1回目です。
24 ◯保健福祉長寿局長(松永秀昭君) 入浴着の着用についての御質問にお答えいたします。
まず、入浴着での入浴に対する認識と、これまでの周知の取り組みについてですが、平成21年に市民の方から、県外の施設で入浴着を着用しての入浴を断られたが、静岡市ではどのようになっているのかという問い合わせがございました。これを受け、すぐに本市では、他市における事例がほとんどなかったため、入浴着のメーカーに確認し、着用して入浴することの衛生上の検討を行いました。その結果、浴槽に入る前に付着した石けん成分をよく洗い流すなどすれば、衛生管理上問題がないと判断いたしましたことから、対象となる公衆浴場事業者等に対して、入浴着の着用について御理解を求める通知を行いました。
75 ◯経済局長(赤堀文宣君) 調査においては、市内全域を対象に、広域交通インフラの整備状況や、土地利用の現状などを踏まえ、大規模な開発を検討する候補地の発掘を行っております。
その結果、1、新清水インターチェンジ周辺、2、清水いはらインターチェンジ及び清水インターチェンジ周辺、3、新静岡インターチェンジ周辺の3つのエリア内に1カ所ずつ開発を検討する用地を選定いたしました。
平成28年度はその候補地について、事業主体や開発手法、コスト及び工期など、深掘りした調査を行ってまいります。
76 ◯44番(栗田知明君) ちょっと苦言を言うようで悪いですけれども、以前もそういう調査をしたわけでありますが、具体的な形で目に見えていなかったわけですね。特に清水のところを考えますと、東名がある、港湾がある、それで新東名が延伸した、大変利便性がよい。29年度には中部横断自動車道が完成するわけですから、こういうときは実はちょっといろんな問題があったとしましても、早急な対応をしながら、調査だけではなくして、具体的な手法、具体的に用地の捻出までお願いしたいなと思っております。そのことをよろしくお願いいたします。
清水いはらインター周辺地区の用地開発の可能性についてどのように考えているか、お聞かせ願いたいと思っております。
企業用地をつくるには、土地区画整理事業、市街地再開発事業等、公的資金の投入で事業が行われてきているわけであります。地権者の負担を下げ、事業推進しやすくし、完成後、税等で投入資金が回収されていくわけであります。企業立地の土地確保の場合も、公的資金を投入し、開発後、雇用や税等で行政が回収できるようにすれば、開発がしやすくなるわけであります。行政が大胆な発想で開発に取り組むべきであろうと考えております。
この点についてお聞かせ願いたいと思います。
77 ◯経済局長(赤堀文宣君) 先ほど答弁させていただいたとおり、この地区は平成27年度の企業立地用地可能性調査において、開発可能な候補地を選定したエリアであり、28年度につきましては、その候補地について、事業主体や開発手法、コスト及び工期など、深掘りした調査を行ってまいります。
78 ◯44番(栗田知明君) 現在、大谷・小鹿地区というのは、割合具体的になってきておるわけです。事業の進みぐあいが遅いということは感じますけれども、このところ以外で工業・物流系の用地開発や、団地整備事業等が進んでいるところがありましたらお願いしたいと思います。
79 ◯経済局長(赤堀文宣君) 現在、市内の2カ所において中小企業の協同組合が中小企業基盤整備機構や県から、高度化資金の貸し付けを受けて行う団地整備事業が進んでおります。
1つは駿河区宇津ノ谷の静岡市物流団地で、本年5月に建物建設に着手しており、11月には物流企業5社が立地予定です。
もう1つは、葵区薬師の協同組合静岡流通センター第2団地で、約5.7ヘクタールの団地整備事業が進められております。
80 ◯44番(栗田知明君) 民間の用地開発に伴い、必要となる進入路等の整備に対して、行政はどのような支援をする考え方があるのか、どのような支援を行うのか、明らかにしていただきたいと思います。
企業立地のための用地確保に最大限の努力はすべきであろうと感じております。先ほども言ったように、お金を投資しても、それについては工場、物流企業が出てきて雇用が増せば、すぐその投資金額は税収として返ってくるのではなかろうかと思いますけれども、その辺の問題についてお願いいたします。
81 ◯経済局長(赤堀文宣君) 進入路などの整備は、開発者による整備が原則ですが、公共性や周辺環境の状況などから、行政による整備の必要性が認められる場合には、庁内で調整を図り、必要な支援を検討したいと考えております。
82 ◯44番(栗田知明君) よろしくお願いしたいと思います。
市街化調整区域の問題です。市街化調整区域に立地できる業種はあるが、調整区域への企業立地についてはどのように考えておるのでしょうか。工業立地で低価格の用地を確保するには、どうしても市街化区域より調整区域へ目を向けざるを得ないわけであります。企業立地に対して、市街化調整区域の活用に最大限の支援を行うことにより、企業立地の用地を提供しなくてはと思うわけであります。行政の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
83 ◯経済局長(赤堀文宣君) 本来、市街化調整区域は、市街化を抑制する区域として、開発や建築が制限されております。例外的に技術先端型業種の工場や、大規模流通業務施設などは、都市計画法の立地基準や技術基準に適合することで、市街化調整区域での開発行為が可能となります。
実際にこの5年間で7社が立地しており、庁内で調整を図り、スムーズに企業立地を進めるよう、ワンストップサービスに努めてきたところでございます。
84 ◯44番(栗田知明君) 調整区域を活用しようとする場合は、やっぱり規制があって難しい点があるわけなんですね。市街化区域に隣接する市街化調整区域を、開発のため市街化区域編入を行い、規制がない中で工場誘致ができるよう配慮等を行うのか。こういうことはどういう手法でできるのか、具体的な援助をお願いしたいと思うわけです。
85 ◯経済局長(赤堀文宣君) 市街化区域編入は、土地区画整理事業などによる基盤整備の、確実な担保性の確保が見込まれる場合に検討するものと認識しております。市街化調整区域での大規模な工場誘致については、市街化区域編入以外でも、周辺環境への配慮や適切な土地利用など、開発エリア内の整備方針やルールを定める地区計画制度があることから、これを活用することを検討してまいりたいと考えております。
86 ◯44番(栗田知明君) 工場誘致等を積極的に行うには、調整区域の利用であろうと私は感じております。行政はどのようにこれに取り組むつもりですか。もちろんこの調整区域については、工場を移転できる業種と、そうでない業種があるわけでありますから、その中において、行政は市街化区域の中へ工場誘致の立地を考えても、大変難しいわけでありますから、調整区域の利用勝手、これをもっと拡大しながらできるような配慮ができないでしょうか。
87 ◯経済局長(赤堀文宣君) 先ほど答弁させていただきましたとおり、市街化調整区域への企業立地については、現行の法規制に対応した形での立地を支援しているところでございまして、引き続き、できる限りの支援をしていきたいと考えております。
88 ◯44番(栗田知明君) 難しい問題があるので、僕はわざわざここへ来て発言したわけであります。もうちょっと違った形でできるかどうかを模索していっていただきたいなと思っております。
また、静岡市については、工場団地や物流団地等がちゃんとそろっていないわけでありますから、開発しようとした場合、大変難しい問題があるわけなんですね。開発の相談については、複数部署にわたって開発許可申請等の各種手続をスムーズに進めるため、産業振興課が総合窓口となって対応してもらいたいと思うわけであります。どのような対応をしているのか、また、今後どのようにしていこうと考えているのか、明らかにしていただきたいと思うんです。
産業振興課にその権限が全部あるわけではないわけですから、産業振興課は他の局、他の部署と相談して初めて、ああする、こうするという格好で検討されていくわけなんです。
静岡市の場合、僕がちょっと相談に乗った場合、僕は議員だから、あちらこちらに言っても割合単純にできるわけですけれども、業者の皆さんはそう単純にできないわけなんですね。その辺をスムーズにできるように、経済局で設定いただきたいなと。経済局だけではなく、全体の関係する部署が全部相談に乗ってくれて、企業立地の場合は、経済局の産業振興課が窓口となってスムーズに相談に乗ってくれるような体制をとってくれるのが一番よかろうと感じております。
静岡市は他市と比べると物流・工業団地の土地はないわけなんです。土地確保のために、業者は多くの関係課を回らざるを得ないわけであります。業者が各課へ行くと、条例どおりの指導がされ、条例を曲げることはできないわけです。どういう形にしたら、条例があるんだけれども、こうやってできるんですよという相談に乗ってくれるのが一番いいわけです。企業立地の土地確保が大変難しくなってしまうわけなんです。企業立地は産業振興課が窓口となり、各課に対して指導することによって、立地がスムーズに運ぶよう、全部署の意思統一を図ってもらいたいと思います。権限移譲までする必要は何もありませんけれども、行政はどういう形で明快に進めていくんでしょうか。
89 ◯経済局長(赤堀文宣君) 本市では、スムーズでスピーディーな企業立地を実現するため、産業振興課にワンストップ総合窓口を設置しております。企業立地に関する開発相談に対しては、関係課への同行、説明、手続支援などの企業へのサポートや、必要に応じて、関係課を集めての庁内調整なども行っているところです。さらに国や県への補助金申請のサポートや、制度活用のアドバイスに至るまで、企業に寄り添った支援を行っております。
今後も、企業立地の総合窓口として、ワンストップサービスの充実を図り、積極的に企業立地を進めてまいりたいと考えております。
90 ◯44番(栗田知明君) 指導している産業振興課の皆さんは、大変苦労しておると思うんですね。そこの部署に長くいないと、どうなってこうなってということがよくわからないと思います。経済局の中だけの問題はまだまだそれでも楽なんですけれども、経済局ではなく、他のいろんな部署があるわけですから、その辺は行政のトップの皆さんも配慮して、立地可能な用地確保のためには、できるだけ全庁そろった形で対応していっていただきたいなと思っております。
そのことが一番、企業の再編、土地を見つけて市内に業者が移る場合でも、よそから立地してくる場合でも、そういう対応ができていながら、大変行政のやり方に対して関心を持ちながら、行政は協力してくれるという中において、静岡市への立地が可能になっていくんでないかと思います。ぜひ、その点はよろしくお願いしたいと思います。
ところで桜ヶ丘病院の移転の問題であります。
先ほどから言ったわけですけれども、あの土地はここ1年、2年で物事が起こってきた土地でなくして、高部地区の問題に対しては、もう20年来なんです。それだけ長く、ずっとこの問題は地元の問題として抱えてやってきたわけなんです。まず高部地区の用地については、方向づけが決まらない中においては、JCHOとの話し合いもできないということで、どんどん先延ばしになっていってしまうわけです。早期だ何だということは、普通で言う早期というのは、そんなに長い時間じゃないと私は感じております。その辺は、早く明確にしていく中において、私ども地元としては、行政の方法に従うつもりでおりますけれども、現実にはその話し合いをする場もつくることができないわけなんです。
早くやってもらいたいし、その中において、地区は地区として間違いない形で行政との相談の中で、地元の発展の核にできるような形で、その土地を利用していきたいと考えておるわけですから、その辺はよろしくお願いしたいと思います。
そして、JCHOのほうは、僕は桜ヶ丘病院にも行ってきたわけです。そんな先の問題ではなくして、早急に、早急は5年、10年の先の問題ではないですから。場所の立地さえ早くできれば、どこそこへ来るということで、関係職員も安心するし、病院も安心するということを言われておるわけです。口先だけでの早期でなくして、まじめな形の中で、できるだけ早い時期に方向づけをしていっていただきたいと思います。
ところで、大変な課題がたくさんありますけれども、こうやって僕ら自身、この壇上へ立って話をするのは、問題があってどうにかその問題を詰めていきたいということで考えてやっているわけですから、行政批判ばかりするわけではないと感じております。それを中途半端にすればそういう問題になってきます。そのことは間違いなく肝に銘じて、早期によろしくお願いします。
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91 ◯副議長(水野敏夫君) 次に、山本明久君。
〔38番山本明久君登壇〕
92 ◯38番(山本明久君) ことし3月に策定された静岡市都市計画マスタープランでは、20年後に人口予測が現在より13%減少して62万人となる静岡市の都市構造について、集約連携型都市構造を掲げています。これが本当にふさわしいのかどうか、幾つか問いただしていきます。
この都市構造の原型は、平成19年に国交省が示した集約型都市構造の実現に向けて、副題は都市交通政策と市街地整備施策の戦略的展開ではないかと思います。
ここではこれまで拡散していた市街地を少子高齢化に対応して歩いて暮らせるコンパクトな集約型への再編の必要性を強調しています。人口減少のもとで郊外の市街地では、都市機能が低下して維持が困難になる懸念も示した上で、再編による賢い縮退──縮み退くと言うんですね──にも言及しています。今の都市の姿形や暮らしのありようがどう変わるのか、ここでは余りはっきりしません。しかし、ここにきて地方創生という名の地方地域再編の中で、集約型構造がどういうねらいを持っているのか、本市がなぜ打ち出したのかが見えてきます。それは国交省の2050グランドデザインのスーパーメガリージョンや連携中枢都市圏構想、あるいはコンパクトシティの集約拠点化とネットワークで都市再生による立地適正化計画、公共施設等総合管理計画などが加わって、これら一体に国土から市町までつかめるようになりました。人口減少のもとでの、当然財政支出への対応という側面もあります。
こうした政府の方針のもとで、政令市においてもどこも同じような集約型都市構造の将来像が都市計画マスタープランの中で打ち出されています。本市と同じ集約連携型構造が名古屋市や札幌市、集約型都市構造が広島市、機能集約型は仙台市、核が多い多核連携型が新潟市、拠点ネットワーク型は浜松市や岡山市となっています。どこも中身はほぼ同じで、画一的で個性があるとはとても思えません。
そうしたことも踏まえてお聞きしていきます。
1点目は、本市が都市計画マスタープランにおいて20年後に人口が62万人になった都市像がなぜ集約連携型都市構造の姿形にとなるのかということです。1割程度の人口減少で都市機能や居住地などの集約拠点化がなぜ必要なのか、市街地を利便性が高いゾーンとゆとりあるゾーンに区分する必要が本当にあるのか、それぞれどのようなエリアなのか、まず説明してください。
2点目は、幾つかの都市拠点や地域拠点に都市機能を集積する目的は何か。
3点目は、集約拠点化されたまちにおいて、暮らしの拠点というものも設定されております。今ある多くの小学校区の地域の中から幾つかが選別されることが描かれております。この拠点はどういう拠点なのか、なぜその地域を選別したのか、なぜ人口が1割程度減ったところで暮らしの拠点が選別されなければいけないのでしょうか。お聞かせいただきたい。
4点目は、集約連携型都市構造を実現していくための実行計画という位置づけがされている立地適正化計画についてです。
これについても国交省では、全国で本市も含めて200余りの自治体が作成に取り組んでいるという情報が提供されております。本市においてこの計画の策定に取り組んでいる内容と策定スケジュールについても明らかにしておいてください。
以上、1回目です。
93 ◯都市局長(塚本 孝君) 本市が目指す集約連携型都市構造の御質問について、お手元のA3カラー判の資料を活用しながら答弁させていただきます。
資料をごらんください。
上の図は、都市計画マスタープランで掲げた集約連携型都市構造図です。下の図は、今後策定していく国土交通省から示された立地適正化計画のイメージ図です。
それでは、4点の質問についてお答えいたします。
初めに、利便性の高い市街地ゾーンとゆとりある市街地ゾーンとはどのようなエリアかについてですが、近年急速な人口減少、少子高齢化が進む中、間もなく開通を迎える中部横断自動車道や東名新インターチェンジの整備が進むなど本市を取り巻く環境は大きく変化してきております。これらの変化に対応するため、本年3月に策定した都市計画マスタープラン、通称都市マスでは、おおむね20年先の都市の姿を見据え、将来の都市構造を集約連携型都市構造といたしました。この都市構造は、市民の皆さんの暮らしに着目し、まちなかのマンションに住み、病院やデパートに歩いて行くことができる便利な生活を望む人や郊外の自然と調和した閑静な場所で庭つき戸建て住宅に住み、ゆとりのある生活を望む人など多様なライフスタイルに対応するものでございます。
お手元の資料の上の図の集約連携型都市構造図をごらんください。
集約連携型都市構造の実現に向けて、市民の皆さんが住みやすく住み続けたいと思えるような都市の形をつくるため、市街化区域内に利便性の高い市街地ゾーンとゆとりある市街地ゾーンを位置づけました。
図をピンク色で着色した箇所が利便性の高い市街地ゾーンで、にぎわいのある拠点や、鉄道やバス路線の沿線などで日常生活に必要な施設の多くが身近にあり、便利に暮らせるエリアです。
図の黄色で着色した箇所は、ゆとりある市街地ゾーンで、利便性の高い市街地ゾーンを取り囲み、道路、公園など生活に必要な公共施設を維持し、空き地や空き家を有効的に活用するなどして地域の良好な環境を守りながらゆとりある生活を楽しむエリアです。
次に、都市拠点や地域拠点に都市機能を集積する目的は何かについてですが、お手元の資料、上の図をごらんください。
ピンク色で着色した利便性の高い市街地ゾーン内に、赤色で着色した都市拠点とオレンジ色で着色した地域拠点を位置づけました。
都市拠点はJR静岡駅周辺などの3地区とし、都市の中心的な場として医療、福祉、子育て、商業などの施設があり、さまざまなサービスが受けられる地区です。
地域拠点はJR草薙駅周辺などの3地区とし、医療、商業などの施設があり、地域の特徴が生かされたサービスを受けられる地域住民の生活を支える地区です。
都市機能を集積する目的は、それぞれの拠点に魅力的で便利な空間をつくり、定住人口と交流人口をふやすことです。
次に、暮らしの拠点とはどのような拠点かについてですが、お手元の資料中段、右側の暮らしの拠点のイメージ図をごらんください。
暮らしの拠点はおおむね半径500メートルのエリア内に便利な生活を送ることができる日常生活に必要なサービス施設が整っている地区です。この地区はバスなどの公共交通が利用しやすく、この拠点の周辺の皆さんにも活用される拠点として選定したものです。
この拠点に求められる施設は、ふだんの買い物や医療、教育、子育て、金融の機能などです。具体的な拠点としては、羽鳥、丸子周辺や有度、由比、蒲原地区などのほか、多くの地区を想定しております。
次に、立地適正化計画の内容と策定スケジュールについてですが、お手元の資料、下の図の今後策定していく立地適正化計画のイメージ図をごらんください。
立地適正化計画は、都市マスに示す集約連携型都市構造を実現するための計画で、主な内容は2つあります。
1つ目は、図の赤い色で着色した都市機能誘導区域と誘導する施設を定めることです。この区域は医療、福祉、子育て、商業など都市機能を誘導し、多くの人が利用しやすい場所となるようさまざまなサービスの充実を図ります。
2つ目は、図の青色で着色した居住誘導区域を定めることです。この区域は定住人口を確保し、住む人が便利に暮らせるよう日常の買い物施設や診療所など生活に欠かせないサービスの維持に努めます。
計画の策定スケジュールですが、平成27年度より基本方針の作成に着手しており、現在は都市機能誘導区域とこの区域に誘導する施設の検討を進めているところです。この区域と施設を定めた後に居住誘導区域について検討してまいります。
策定に当たっては、市民の皆さんや関係団体、有識者からの意見を聞きながら進めてまいります。
〔38番山本明久君登壇〕
94 ◯38番(山本明久君) 比較的丁寧に答弁いただきました。しかし、なぜ62万人でこれが必要なのかがはっきり示されないんですね。この描かれた絵が今とどう違うのでしょうか。どう変わる必要があるのでしょうか。変わらなければいけないのでしょうか。変化に対応してということで、人のライフスタイル、多様性を保障するためという言い方でしたけれども、恐らくこれはかなり強引にやられるわけです、誘導区域の指定というのは。同様に暮らしの拠点、1割程度減ってもなぜそこが選別される必要があるのか、500メートル範囲で暮らせるようにするというのなら、現にある小学校区単位の地域コミュニティーで必要なサービスを受けられるようにするというきめ細かな整備の方向こそ集約拠点化よりも必要ではないかと私自身は考えているのです。
その減少する人口のもとでの市街地のあり方についても集約するわけですから、その手段として定住人口を誘導するという方針が示されているんです。現に住んでいる人を黄色の地域からピンクへ誘導するわけですね。つまり2つの誘導区域をどこに設定するのか、区分するのかという問題と、特にピンクのところへ設定される以外の周辺の黄色のところは取り残されてどうなるんだという心配がやっぱり出てくるわけです、この方式で進められると。
先ほども触れましたが、市街地の縮小というのはそんな簡単にはいかないわけです。どうやって人口を誘導するのかというのも、きわめて本当にできるのかという実効性が問われる。しかしこの鍵を握る適正化計画というのは、具体的な中身は全くこれから検討するということです。それは見守りながらも意見も言っていく必要があります。
実際に立地適正化計画を策定した熊本市の例を見ると、市街化区域のうち54%が居住誘導区域、そのまた53%が、つまり市街地全体の約4分の1が都市機能誘導区域となっているようです。札幌市では居住誘導区域が市街地の23%、都市機能がそのうちの17%、市町でかなり割合が違っています。しかし、その面積と人口集中がどうなるかということで、都市の姿形が大きく変わってくる重要な問題だと私は思います。
そこでお聞きしておきますけれど、本市では居住誘導区域と都市機能誘導区域についてどのような区域として想定しているのかという点を、もう少し具体的に詳しくわかれば示していただきたい。
この居住誘導区域内に指定される都市機能誘導区域というのが、人口がどんどん減少していった場合にここだけは少なくとも都市機能を維持するという施設を集中させるわけですね。各種サービスを受けられる拠点をつくろうという発想になります。ですから、集約化によって公共施設をここに集中させるというまちの姿になることは間違いありません。恐らくは居住誘導区域以外のこの黄色に当たるところですね。ここは市街地なんだけれど、市街地機能が縮退していって、調整区域かというとそうでもない、中間みたいなところだと恐らく思うのですが、そこの部分とさらにその周辺の自然調和ゾーンというか、周辺の緑の地域などというのは、その都市機能を支える行政施設も民間施設も行く行くは統廃合がされていって暮らしの利便性というのが後退するんじゃないかと考えざるを得ないわけですね。これは誘導して設定される区域と誘導されなくて取り残される地域がどうしても生まれるやり方ですから、そうなっていきます。そうなると黄色や緑の地域というのは今あるコミュニティーが壊されてしまうのではないかという危惧も生まれます。
ですから、人口が1割程度減ったからといってこういうまちの姿や構造に変えていく必要も全くないと思いますね。人が望むというより市が強引に持っていくわけですから。
2点目にお聞きするのは、そんなことから特に都市機能誘導区域に誘導する都市施設、便利だというのはどのようなものを考えているのか、説明を加えておいてください。
2回目終わります。
95 ◯都市局長(塚本 孝君) 2点の御質問にお答えいたします。
初めに、立地適正化計画における居住誘導区域及び都市機能誘導区域はどのような区域を想定しているのかについてですが、お手元の資料下の図をごらんください。
図の青色で着色しました居住誘導区域は、上の図の集約連携型都市構造図のピンク色で着色した利便性の高い市街地ゾーンを想定しています。この区域はにぎわいのある拠点や鉄道やバス路線の沿線など日常生活に必要な施設の多くが身近にあり、便利に暮らせるエリアです。
下の図の赤色で着色した都市機能誘導区域は、上の図の赤色で着色した都市拠点やオレンジ色で着色した地域拠点などを想定しています。この区域は、医療、福祉、子育て、商業などのサービスの効率的な提供を図るエリアです。
次に、都市機能誘導区域に誘導する施設はどのような施設かについてですが、現在検討している施設は、市内外からの交流人口をふやし、にぎわいを生み出す施設と居住者の生活の豊かさや利便性を高める施設を予定しております。例えば、集客力があり、まちのにぎわいを生み出す文化施設のほか、高齢化によりさらに必要性の高まる医療施設や子育て世代の生活に必要な子育て支援施設などの施設です。
今後は各拠点の特性や将来の目指すまちの姿などを踏まえながら施設を定めてまいります。
〔38番山本明久君登壇〕
96 ◯38番(山本明久君) 2つの誘導区域は具体的には立地適正化計画でこれから検討していくわけですから、ごく簡単な絵しか描けないという、今の時点はそうだと思うのですが、少なくともその2つの誘導区域は利便性が高い地域、これはもう明らかです。じゃそれ以外のところは、逆に言えば利便性はそんなに高くない、今より後退しないのかという心配が当然出てくるわけですね。そこは恐らく利便性は落とさないことを当然検討されるはずですけれども、しかし全体の地方創生地域再編という流れの中から出てきている集約拠点化、コンパクト化というのは、全体を縮めて財政支出をどうされるかという観点で基本的には得られるわけですから、どうしても今の静岡市の姿、形よりいろんなゆがみ、いびつなところが出てくる可能性があると思うわけです。
恐らくそうしないための一つの集約連携型の交通のネットワークの部分でカバーしていくという考えも当然あろうかと思うのです。この集約連携型というのは、交通網と情報通信のネットワークということですから、その範囲での当然利便性は確保されていくと思います。
しかし、繰り返し言いますけれども、集約されたその拠点以外や、その周辺に住む人々にとっては、幾ら多様性を求めていると言っても行政が誘導されるとおりに動くとは限らないわけですから、交通ネットワークについてもサービス拠点とともにこの交通ネットワークについても利便性が現在後退するのではないかという疑問が出てきます。そういう点で言えば周辺地域にもきめ細かく交通ネットワークが整備されていかないとそういう利便性が後退するおそれがある、先ほど言いました暮らしの拠点でもきめ細かく整備する方向でないと利便性が後退するおそれが出てくると思います。
そこで1点目は、このことに関して都市マスプランで示されている交通ネットワーク、一応魚の骨状の縦横の線が描かれています。これは拠点を縦横に結ぶという発想で、今の静岡市の交通網でも言えるのですけれども、地域間を取り巻く循環というのがほとんどない、これはきわめて弱い、つまり今も利便性に問題があって、将来的にも今の絵だと問題があると。ですから集約連携型構造を目指すという場合に、公共交通のネットワークについては、そこら辺も勘案しながらどのように取り組んでいくのか、お聞かせいただきたい。
97 ◯副議長(水野敏夫君) あと1分です。
98 ◯38番(山本明久君)(続) 最後にもう1点、定住人口の誘導についてですけれども、都市拠点は便利ですからその近くに来るというのはわかるのです。当然居住誘導区域は交通アクセスがいいところに設定される。しかし、逆に言えばアクセスの悪いところは取り残されるおそれがあると、都市機能や定住人口、集約拠点化するこの都市構造においては、都市施設の誘導というのは中心部をどんどん再開発したり、公共施設等総合管理つまりアセット方針ですね、統廃合を生み出して公的な土地を民間へ提供したり、税の優遇措置をとったり、行政と民間で進めることになると思いますけれども、居住誘導区域の形成はそこへの市民の移住が前提になっていても優遇措置が原則ないので、本当に実効ある方針かどうか疑問です。ここへ誘導するためにどのような施策があるのか示してください。
以上です。
99 ◯都市局長(塚本 孝君) 2点の御質問にお答えいたします。
初めに、集約連携型都市構造の実現に向けて、公共交通はどのようなことに取り組むのかについてですが、お手元の資料、上の図をごらんください。
東西に黒色で示したJR東海と静岡鉄道や、南北に太い茶色の矢印で示した幹線バスなどの公共交通は、全ての人が安心して利用できる日常生活に欠かせない移動手段で、集約連携型都市構造を支える重要な役割を担うものです。
JR東海や静岡鉄道は、静岡、清水、東静岡などの拠点を結ぶ東西軸を担います。各鉄道事業者と連携し、駅舎の改築や駅前広場の整備による交通結節機能の強化や既存駅舎のバリアフリー化など利用環境の改善に努めてまいります。
幹線バスは拠点から緑色で着色した自然調和ゾーンまでを結ぶ南北軸を担います。バス事業者と連携し、誰もが安心して利用できる効率的なバス交通のネットワーク化に向けて、路線網の再編や中山間地の運行などを検討してまいります。
今後も「ひとが公共交通に乗りやすいまち」を目指し、公共交通の維持、充実に取り組んでまいります。
最後に、居住誘導区域内に居住を誘導すためには、どのような施策があるのかについてですが、現在、居住を誘導するための施策の検討には至っておりません。国の都市計画運用指針では、例えば、居住者の生活利便性を高めるための施策として、居住誘導区域から都市機能誘導区域へのアクセス道路の整備など、また公共交通の利便性を高めるための施策として、駅前広場の整備による交通結節機能の強化やバス路線網の再編による利用サービスの向上を図る施策などが示されております。今後は、他都市の先進的な事例なども参考に必要な施策について検討してまいります。
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100 ◯副議長(水野敏夫君) 次に、佐藤成子さん。
〔18番佐藤成子君登壇〕
101 ◯18番(佐藤成子君) 通告に従って質問します。
1年ぶりの登壇にいささか緊張しています。枝葉のほうが多いかもしれませんが、おつき合いいただきたいと思います。
今回は政策の形成というか、政策はどういう過程を経て政策となって提示されるのかということに興味を持ち、そのことについて伺いたいと思っています。
議員としてというまでもない視点、考え方、捉え方ではありますが、物事を大局的に捉える、また他との関連性についても見る目が必要であるということを監査という役割を担っている中で知らされました。
今回は、大項目第3次総合計画の推進についての1項目のみです。
通告の段階でもう1項目あったのですが、ヒアリングの際、当局と情報交換する中で、私が質問しようとした素材は、現在それを遂行している最中で、相手があり、よい結果につながるかどうか微妙な状況にあるので、そっとしておいてほしいということでした。確かに騒ぐことによって結果が逆転する事象もあるのでしょうが、騒ぐことで相手にそのことの重大さを知らせる効果もあるのではないかと考えたのですが、今後納得できる答弁を提示していただくために、政令市への権限移譲に伴う教育環境については、次回に伺うことにしました。
さて、第3次総合計画の推進についてですが、昨年よりその政策、計画は着々と進められ、1年と少し経過しています。皆さんが熟知している3次総について、少しだけ振り返ります。
3次総の巻頭に「静岡市のまちづくり」はどこを目指し、何を実行していくべきかを市民の皆さんと共有するために3次総に示していると記載されています。また、市長の挨拶文には、最大の目標は2025年に総人口70万人の維持であり、「歴史文化のまち」、「健康長寿のまち」を掲げ、静岡市の持つ長所を生かし、「世界に輝く静岡」の実現を目指すとあります。その策定体制は、市長をトップとした庁内策定会議を設置、分野別部会の開催や審議会等からの意見聴取、Voice ofしずおか市民討議会や市民アンケート、パブリックコメント等さまざまな方々に参画いただき計画づくりを進め、都市の向かう方向性、つまり静岡市の最大の政策は行政と市民とで、そして基本構想と基本計画は議案として上程され、議会が可決して決定されたというわけです。もちろんこの間、議員も会派等として提言もしております。
市長は多くの皆さんの多大な御理解、御協力のたまものとおっしゃっておりますが、オール静岡で静岡市の将来展望、政策はつくられたと表現できるのでしょうか。
それでは質問に入ります。
2月議会での市長の施政方針についてです。
市政運営のシステムのあり方が重要と述べ、限られた期間や限られたマンパワーの制約の中で最大限の効果を生み出していく機動力のある行政運営体制の構築が必要ということで、機構改正に取り組まれてきました。これまでの4年間、トップダウンとボトムアップがバランスよく発揮され、風通しのよい組織とするために試行錯誤しながら行政組織の形を少しずつ見直してきたと述べています。
お伺いいたします。
組織機構改正についてです。
組織は政策に従うと示されています。この考え方、趣旨はどういうことなのか、もう少しわかりやすく具体的に説明していただきたく思います。
昨日の質問にもありましたが、これまで何度か所属部署が変わるシティプロモーションを扱う部署や今年度新設された特徴的な組織や役職、戦略広報監、政策推進統括監、健康長寿統括監はどのようなものでどのような役割を担うのでしょうか。お伺いします。
次に、静岡市の総合戦略の計画の推進の評価・検証についてお伺いいたします。
資料1)をごらんください。
これまでは、まちみがき戦略推進プランで静岡版事務事業評価が行われてきましたが、今回は総合戦略の達成状況を検証し、改善につなげていく静岡型行政評価制度、静岡市の政策・施策外部評価委員会についてお伺いいたします。
政策そのものを評価されるというのは、かなり意味のあることだと思っています。静岡市の政策・施策外部評価委員会について、外部評価の対象となる施策はどのような観点で選定されたのでしょうか。また、評価の仕方、視点についてですが、どのような見方、視点で評価するのでしょうか。お聞かせください。
以上、1回目の質問です。
102 ◯副市長(小長谷重之君) 私からは外部評価を実施する対象施策の選定方法と評価の視点についてお答えさせていただきます。
3次総を推進し、新しい公共経営を実現するには、PDCAサイクルを効果的に活用することが必要であり、特にチェック機能を強化、充実させ、見直しや改善につなぐことが重要であると考えております。本年度から本格実施しております静岡型行政評価制度は、このチェック機能を果たす重要な役割を担っており、次の3つを大きな特徴としております。
1つ目は、3次総の政策・施策・事務事業の3階層で、2段階の総合的な評価を行うことであります。各階層において行政内部による1次評価に加え、客観的な視点から2次評価を実施いたします。
2つ目は、政策・施策について、専門家レベルの精緻さ、市民レベルのわかりやすさを両立させるよう2次評価を行うことであります。そのため行政評価における第一線級の研究者や企業経営者、公募市民等で構成されます政策・施策外部評価委員会を設けました。
3つ目は、2次評価の対象となる施策を政策・施策外部評価委員会の委員の方々の協議により選定していただいたことであります。外部評価委員会における評価対象者施策の選定に当たっては、市が推進する重要な事業を含む施策、委員が特に重要と判断した施策、行政マネジメントの視点から成果が思わしくないものなどの観点により行っていただきました。現在、8月下旬に評価結果の報告をいただくよう2次評価を進めているところであります。
また、評価に当たっての視点でありますが、施策の達成状況や指標の適格性、主要事業の必要性、効率性、競争性など評価・検証するほか、施策推進のための今後の方向性についても御意見をいただくなど多角的な視点から評価をいただいております。この評価結果を活用して3次総をよりよいものに磨き上げ、さらに発展をさせていただきたいとと考えております。
103 ◯総務局長(池谷眞樹君) 組織機構改正についての2点の御質問にお答えいたします。
まず、組織は政策に従うという考え方についてですが、この考え方は本市の組織機構改正を行う上での基本的な考え方です。本市の政策を実現するために本市の組織があると考えています。組織体制は、その組織が今、何を重点に取り組んでいるのか、そして今後どのような方向に向かっていくのかという本市の姿勢を示すものであると考えています。そして、限られた貴重な経営資源である職員の力を最大限生かし、政策を最も効率的に実現していく組織体制が必要です。
このような考え方に基づき、3次総がスタートする平成27年4月にそれまでの組織を大幅に見直し、本年度についてはさらなる重要政策・施策を協力に推進するための組織に再編いたしました。組織は政策に従うという原理原則のもと、本市職員の力を最大限生かし、3次総が掲げる人口70万人の維持を全職員で実現していきます。
次に、組織は政策に従うという考え方のもと、大きく4つの目的から組織機構改正を行いました。
まず1つ目は、重要政策の迅速な推進です。企画局に局長級の政策推進統括監を配置し、重要政策を迅速かつ柔軟に具現化し、内部調整や国・県との連携機能をより機動的に発揮させることといたしました。
2つ目は、情報発信力の強化です。戦略的な広報とシティプロモーションの機能を一体化するとともに、総務局に局次長級の戦略広報監を配置し、本市の情報発信力の強化に取り組むことといたしました。
3つ目は、「健康長寿のまち」の実現です。保健福祉局と病院局を統合し、保健福祉長寿局として再編いたしました。また、同局に局長級の健康長寿統括監を配置するとともに、地域包括ケア推進本部を新設し、静岡型地域包括ケアシステムを構築し、強力に推進することといたしました。
4つ目は、国内外からの誘客と交流の促進です。MICE・国際課を新設し、MICE誘致の都市間競争が激化する中、MICEの誘致及び国際交流をより積極的に推進し、国内外からの一層の誘客と交流を図ることといたしました。
以上の4つのほか、約50年ぶりに行政処分に対する不服申し立て制度が全面的に改正されたことを踏まえ、行政処分に関し中立的な組織としてコンプライアンス推進課を新設いたしました。このコンプライアンス推進課は、不服申し立て制度のみならず内部統制を総括することとし、本市における行政の適正な運営を確保していくものです。
〔18番佐藤成子君登壇〕
104 ◯18番(佐藤成子君) 御答弁いただきましたが、もう少し伺います。
2回目です。
多角的な視点で評価していただくという外部評価委員会の重要性なども伺ったので、ああなるほどそういう方向性で第3次総が加速されていくのかなと思いました。組織を新設したり、新たな役職を設けて推進体制を強化していくというお答えをいただきました。
重要政策を迅速かつ柔軟に具現化して内部調整や国、県との連携機能をより機能的に発揮させるための政策推進統括監の仕事、静岡の魅力を国内外に向けて広く発信する戦略広報監の仕事、これらに対しては本当に期待するところが大であります。
さて、「健康長寿のまち」の実現を目指して保健福祉長寿局が新設され、そこに専門部署として地域包括ケア推進本部が設置されました。私の頭によぎったのがあの地域活性化事業推進本部でした。
資料2をごらんください。
各局から兼務の担当者がプロジェクトチームのように集まり、事業を推進していた地域活性化事業推進本部。さまざまな課題を抱えて数年で改正されました。呼称がとてもよく似ていますので、まさか同じ経緯にはならないだろうなと思い、地域包括ケア推進本部と地域活性化事業推進本部の組織体制の違いはどんなことでしょうか。お聞かせください。
また、2月議会の段階ではその姿が余りよく見えなかったのですが、資料3から6をごらんください。
この資料をじっくり見ればわかるかもしれませんが、地域包括ケア推進本部の役割について具体的に御説明いただければと思います。
今、御説明いただきましたコンプライアンス推進課についてですけれども、新設されましたが、このところの職員の業務のミスについて少しお伺いします。
相手を間違えて郵送して過剰に課税徴収してしまったとか、業務仕様書の記載間違いをしたりとか、リスクチェックシートの扱い方などにおいてケアレスミスがあった、なくならないというようなことを伺いました。定員管理などで人員が減少し、中間管理職がきめ細かなOJTの指導ができていないのではないかと思うのです。一般企業でも30代後半から40代の中堅どころは、仕事量がふえ、後輩の指導時間がとれないとのことだそうです。連合総研の中堅社員の実態調査がその課題の調査をしています。
呼称から想像できる新設されたこのコンプライアンス推進課でございますが、組織マネジメントの対策等なども含めて設置目的とか役割をもう少しお伺いできればと思います。
以上、2回目の質問です。
105 ◯総務局長(池谷眞樹君) 組織機構改正の2点の御質問にお答えいたします。
まず地域包括ケア推進本部と地域活性化事業推進本部の違いについてですが、地域活性化事業推進本部は、局横断的な組織としてみずからが事業を実施することよりも、局の連携や事業の調整を図ることに主眼を置いた組織でした。これに対し地域包括ケア推進本部は、保健福祉長寿局内の組織でみずから事業を実施する専門部署であるという点で全く異なる組織です。
具体的には地域活性化事業推進本部は、複数の局にまたがる事業で、地域活性化に資する特定の事業について各局を横断的に活用し、事業の推進を図ることを目的としていました。そのため他の局には属さず、また局間連携を確保するために各局との兼務職員を多く配置していました。
一方で、地域包括ケア推進本部は、専属職員を配置し、みずから事業を実施するほか、保健福祉長寿局の権限と責任のもとで介護、福祉、医療、保健を所管する局内の各部各課を横断的に指揮するとともに、各局と連携することで静岡型地域包括ケアシステムの構築を核とする健康長寿のまちづくりを牽引していく部署です。
次に、コンプライアンス推進課の役割についてですが、コンプライアンス推進課には、主に2つの役割があります。
1つ目は行政不服申し立てに関する事務の総轄です。具体的には、改正された行政不服審査法に基づき第三者的な立場から行政処分を審査いたします。例えば、従来市税の課税処分に対する不服申し立ては、その処分を行った税務部門の担当課が審査していましたが、今後はコンプライアンス推進課が実質的な審査を行います。
2つ目は、内部統制の総括です。関係各課と連携し、総合的、横断的に内部統制機能と推進を図っていきます。コンプライアンス推進課では、各課が事務執行における潜在リスクを把握、分析し、事務事業事故を未然に防止するため作成するリスク分析及び対応等のチェックリストの整備、活用に対する指導のほか、発生した事故の原因分析及び再発防止に向けた支援、職員に対する危機管理研修などを実施していきます。これら2つの役割を通して公正でより効率的な行政運営を着実に進め、市民の皆さんから信頼される市政運営に努めてまいります。
106 ◯健康長寿統括監(高松利光君) 地域包括ケア推進本部の役割についてお答えいたします。
地域包括ケア推進本部は、保健福祉長寿局内の介護、福祉や医療、保健の部門を組織横断的に指揮するとともに、各局と連携することで高齢者が住みなれた自宅でずっと人生の最後まで自分らしく暮らせるよう静岡型地域包括ケアシステムの構築と健康寿命の延伸を図り、3次総の目指す健康長寿のまちの実現を牽引することであります。このために本年6月には、健康長寿のまちづくりを全庁的な取り組みとして進めるため、市長を会長とし、関係局長を委員とする静岡市健康長寿政策推進会議を設け、推進体制を整えたところであります。
今後、この枠組みを活用して本市の健康長寿のまちづくりの施策について検討を進め、年度内に新年度の関連施策をわかりやすく示すとともに、平成29年度にはこれを土台として新たに静岡市健康長寿計画を策定してまいります。これにより本市の目指す健康長寿のまちの姿を市民の皆さんにわかりやすく示していきたいと考えております。
〔18番佐藤成子君登壇〕
107 ◯18番(佐藤成子君) 3回目は意見・要望です。
私は平成24年の9月議会でまちみがき戦略推進プランの推進について、組織機構改正の成果についてと市政運営について、組織の統合や再編について伺っています。
組織改正には大きな意味があるとの思いで今回も伺いました。よりスピード感を持って政策を遂行するための手段になります。何をどう変えることによってより効果的に組織が動くのか、そしてその政策、施策が遂行できるのかにつながります。今回、政策はどういう過程を経て政策となって当局から提示されるのか興味を持ち質問しました。きっかけとなったのが組織は政策に従うという言葉でした。組織は一人一人の職員の集まりであり、政策は言うまでもなく戦略会議の決定事項、トップの思いなはずです。
静岡市都市計画マスタープランの表紙は、「みんなで考えるこれからのまちづくり」とあり、第3次総合計画の表紙にも「みんなの力で創る、静岡。」とあります。1人の100歩よりも100人の1歩なのですが、きのうの質問の際、数名の議員が認定こども園の一斉移行の市長の英断が、共働き家庭の子育てしやすい都市日本一の要因になっていると表現していたと私は解釈しました。
政策提示の過程、経緯が見えない施策、マスコミ報道で初めて知ることもありますが、私自身の情報収集の能力の低さかもしれませんが、中長期的な高等教育のあり方の中の市立大学構想、東静岡の市有地の一部利用のスケートボード場の設置、浮かんでは消えてしまっているように見える施策。清水港にぎわい創出のLRTの検討、天守台発掘後の天守閣建設への道のり、先ほど来の話題の清水区役所へ病院を移転させるかもなどなどはっきりさせることが大事なとき、こともあります。その政策になぜこだわるのか、なぜそれが進められないのか、なぜそれがだめなのか、できないのか、政策遂行のための説明責任、アカウンタビリティーが必要です。これこそトップの英断、リーダーシップではないでしょうか。
また、私たち議員も政策立案できる議会を構成していかなければなりません。政策遂行の大きな担い手、政策推進統括監の存在に大きな期待を抱いています。政策・施策外部評価委員会の厳しい見る目にも注目しています。静岡型地域包括ケアシステムをつかさどる健康長寿統括監としっかりコミュニケーションできるようにしたいものです。
最後に、第3次総合計画、ここにいる一人一人が当事者としてこの静岡で生活できることに誇りをお持ちでしょうか。「静岡市はいいねぇ。」と情報発信しているでしょうか。
そして、最後の最後に一言。現在、参議院選挙の真っ最中です。今回から18歳、19歳に投票権が与えられ、日本の選挙史上画期的な選挙が行われようとしています。投票できるということは、権利でもありますが、義務でもあります。女性に初の選挙権が与えられたとき、女性たちは晴れ着を着て投票所に向かったとの記録があります。権利を得た女性たちの思いがよくあらわれたワンシーンだったと思います。つい最近70年ほど前のことです。今回、投票権を得た若者たちも含めて、民主主義の原点です。皆さん投票に行きましょう。
納得できる政策は、組織を動かします。まさに組織は政策に従うということでしょう。政策によって人は動くかもしれませんが、またその政策を支えていくのも政治参画している一人一人、市民の力と思います。組織は政策に従うの言葉から連想した私の思いを語らせていただきました。
以上で質問を終わります。
108 ◯副議長(水野敏夫君) この際、暫時休憩いたします。
午後2時40分休憩
───────────────────
午後2時55分再開
109 ◯議長(栗田裕之君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
総括質問を続けます。
次に、亀澤敏之君。
〔33番亀澤敏之君登壇〕
110 ◯33番(亀澤敏之君) それでは、通告に従いまして質問させていただきます。
静岡都心地区の中心市街地のまちづくりについてお聞きします。
静岡都心地区の中心市街地では、再開発事業による基盤整備がこれまで着実に進められてきたと私は感じております。この再開発の事業を進めてきたことは、第3次静岡市総合計画にもうたわれているコンパクトシティの核となるもので、静岡県の中心都市としての中枢機能を担っていく世界中から多くの人が集まる求心力の高いまちづくりに大いに貢献しているのではないでしょうか。
具体的に申し上げますと、JR静岡駅の南側では、大規模な再開発として注目され、クオリティーの高い都市型ホテルの誘致に成功したサウススポット静岡やオフィスとともに静岡科学館「る・く・る」が整備されたエスパティオに加えて、本年2月には静岡駅前南町自治区に静岡駅南口における新たなシンボルとなる駿河スカイタワーが完成しました。これらの再開発事業により静岡駅南口におりたときに見渡される景観が大きく変貌を遂げるとともに、駅南地区は大きく発展することができたと思います。先ほども発言がありました。
一方、北側では、駅前広場が大きくきれいに生まれ変わるとともに、再開発事業では市立図書館や産学交流センターが整備されたペガサートや新静岡駅から市街地への歩行空間を整備した新静岡セノバ、また静岡駅北口の新たな玄関口となった葵タワーなどを加えて、25年度に質の高い土地空間を実現した呉服町第一地区呉服町タワーが完成しました。特に21年度に完成した静岡駅前紺屋町地区の葵タワーにおいては、結婚式を初め、いろいろなパーティーや各種の催事などに活用され、中心市街地のにぎわいに大きく寄与しているところです。
また、七間町地区では、映画館が撤退した跡地に昨年12月、静岡市上下水道局庁舎が完成しました。この新しい庁舎には民間の調理専門学校が併設されました。ここには、官民が連携してにぎわいをつくり出そうとする努力があったものと思います。
私は、こうした官民連携の実例がどんどんふえていくことを期待しており、再開発事業を初めとしたこれらの都市基盤整備が静岡市の存在感を高めることに大いに貢献したことは間違いのないことで、これからもこうした都市基盤整備を着実に進めていく必要があると考えております。
そこでお尋ねします。
改めて、これまでの再開発事業をどのような考え方で進めてきたのか。
また、静岡駅周辺において現在実施している再開発事業の進捗状況について、お答えください。
次に、昨年10月9日付の静岡新聞において市街地再開発事業を目指した準備組合がたった1年間で4つも設立したとの記事がありました。準備組合設立には地区にお住まいの皆様、土地や建物をお持ちの皆様の多くの方々の御努力があったものと推察いたします。関係の皆様の御努力に敬意をあらわしたいと思います。
記事では、建物の老朽化が背景にあると書かれていました。紺屋町や呉服町通りなどの古くからの商店街の方からは、建物の老朽化が進んでいる。都市ガスの配管も交換時期に来ているが、共同化されたビルなので簡単には交換ができない。そこでやむを得ずオール電化に切りかえた。何とか早く建て替えたいとの切実な声が私のもとにも届いてまいりました。このような話を聞くと、建物の建て替えは、本当にせっぱ詰まった問題なのだと実感しました。
こうした状況の中で、準備組合が立ち上がってきておりますが、いずれにしてもさらなる再開発の気運が高まっていることは確実であると思います。そして、これらの再開発が実現すると静岡都心地区の建物の安全性、まちの防災性は大きく高まるとともに、まちが持つ機能や景観も大きく変わってくるのではないかと思います。
また、立ち上がった4つの準備組合は、いずれも静岡都心地区の中心市街地に位置しているようですが、それぞれに地区の特性があるのではないかと思います。それぞれの地区の特性を生かしながら計画的に再開発事業を進めていくべきではないかと思いますし、また市としても可能な限り積極的にこの再開発事業を推進していくべきだと思います。
そこでお尋ねします。
まず、短期間で多くの再開発準備組合が設立した要因は何なのか。
次に、4つの再開発準備組合の事業計画の概要はどのようなものか。
また、市は4つの準備組合にどう対応していくのか、お答えください。
以上で、1回目の質問を終わります。
111 ◯副市長(美濃部雄人君) これまでの再開発事業をどのような考え方で進めてきたのかについてですが、再開発事業は老朽化した建物が密集し、有効な土地利用が図られていない市街地において、土地の共同化と高度利用を図り、安全で快適な都市環境とにぎわい空間や質の高い居住環境を創出するための最適な事業手法と考えています。
具体的には事業に関連した規制・誘導補助金を活用して、医療、介護、子育て支援といった公共の福祉に資する施設の誘致や、建築物の壁面後退による緑地、広場や歩行空間の提供ができる事業、また共同建築物の不燃化による防災力の向上を行い、まちの機能更新や社会貢献を図れる事業を進めてまいりました。
本市の再開発事業は、2つの手法により進めております。
1つ目は、市街地再開発事業で、いわゆる法定再開発と呼ばれ、都市計画事業として街区単位など比較的大規模な施行面積で、地元の地権者などが設立した再開発組合が主体となって進めます。
2つ目は、優良建築物等整備事業で、いわゆる優建と呼ばれ、法定再開発にならない小規模な施行面積で実施し、任意の民間事業者が主体となって進める事業です。この2つの事業を官民が協働して行っていくことで快適で質の高いまちの拠点を形成し、交通環境を充実させ、新たな交流と活力を生み出すことを目指し、安心、安全、快適でにぎわいとゆとりのあるまちづくりを推進しております。
112 ◯都市局長(塚本 孝君) 私からは3点お答えいたします。
初めに、静岡駅周辺において現在実施している再開発事業の進捗状況についてですが、2地区で再開発事業を進めています。
1つ目は、静岡伊勢丹東側の静岡呉服町第二地区、第一種市街地再開発事業で予定している施設は、商業や業務施設のほか、高齢者福祉施設や誰もが使える多目的ホール、また帰宅困難者受け入れ施設などです。現在、既存建築物の解体工事中で、本年末には建設工事に着手し、平成30年度の竣工を目指しています。
2つ目は、上下水道局庁舎南側の静岡七間町地区優良建築物等整備事業です。この事業は映画館跡地周辺のにぎわい創出のため、上下水道局庁舎と一体となった魅力的なまち並み景観の形成や広場空間の効果的な配置を行い、七間町通りの顔となるよう事業計画の策定段階から周辺住民を含めた研究会を立ち上げ、官民が協働して取り組んできたものです。
予定している施設は、商業や業務施設のほか、公開広場や保育所、帰宅困難者受け入れ施設、住宅などで、平成27年8月に建築工事に着手し、29年度の竣工を目指しております。
次に、短期間で多くの再開発準備組合が設立した要因についてですが、現在、再開発準備組合が設立されている街区は、昭和30年代から40年代にかけて建築されたもので、主に防火を目的として共同化された建築物や狭小な建物などが密集し、既に50年以上が経過し、老朽化が進んでいることから、同時期に建て替え時期を迎えています。
このような状況の中、各街区で建て替えの検討が始まり、地元住民と市の合同による商店街のあり方や土地の有効利用、また事業手法などについての勉強会が同時期に進められてきました。この勉強会を重ねていくことにより事業手法としての再開発事業に対する理解が深まり、街区ごとに建て替えを行うことが最も適した手法であると意見集約され、短期間に多くの再開発準備組合が設立したものと考えております。
現在、設立されている再開発準備組合の事業計画の概要についてですが、静岡都心地区では4つの準備組合が立ち上がっています。
1つ目は、七間町通り沿いの七間町・両替町二丁目地区でアミューズメント施設の導入など映画館があった当時のにぎわいの再生を目指し、平成26年8月に設立されました。
2つ目は、葵タワー東側のJR静岡駅北口正面に位置する紺屋町・御幸町地区で、立ち寄りやすく集まりたくなる空間の整備など静岡市の玄関口にふさわしい訪れたくなる魅力あるまちづくりを目指し、平成27年6月に設立されました。
3つ目は、松阪屋北側の御幸町9番・伝馬町4番地区で、専門学校の設置など若者が集う新たなにぎわいを創出することを目指し、平成27年7月に設立されました。
4つ目は、青葉通り南側の呉服町二丁目五班地区で、商店街のにぎわいや回遊性の向上を目指し、平成27年7月に成立されました。
最後に、4つの準備組合にどう対応していくのかについてですが、各準備組合が計画している再開発事業については、市の総合計画などと整合性が図られた事業計画となるよう、各準備組合へ助言や協力を行い、市の財政状況を踏まえ、平準化を図りながら魅力と親しみのあるまちの顔の創造を目指し、計画的に進めてまいります。
〔33番亀澤敏之君登壇〕
113 ◯33番(亀澤敏之君) 御答弁ありがとうございました。これらの再開発事業が完成した暁には、世界に輝く、人の集まるすばらしい静岡市が形成されていくことと思います。
一方、現実を見ますと、本市の人口は減少を続けており、大きな時代の転換期の真っただ中にいることは、間違いないと思います。こうした流れを変えていこうと第3次総合計画、総合戦略といった大きな指針が示されるとともに、中心市街地での具体的な方策を示す中心市街地活性化基本計画が本年3月に内閣総理大臣の認定を受けました。
この計画で示された一つ一つの施策を着実に実行していくことで、静岡都心地区、清水都心地区の市街地の整備改善、都市福利機能の向上、経済活力の向上、公共交通の利便性の増進などを大きく進めていただきたいと思います。
この中心市街地活性化基本計画には、現在、実施している2つの再開発事業が掲載されております。私は、現在実施しているこの再開発事業に引き続いて4つの準備組合の事業を継続して行うべきであると考えています。このことは人口減少の歯どめの対策にもつながっていくことと思います。
具体的な地域における課題を申し上げますと、静岡駅南口においては、再開発事業によるまちづくりが大きく進みましたが、片や北口においては、葵タワーなどが完成したものの、特に紺屋町、呉服町などの地区で、先ほども商店街の方の話に触れましたが、商店街の建物の老朽化対策、都市機能の更新がやや停滞しているのではないかと感じております。
本年4月の熊本・大分の大地震時には、耐震性の低い建物が大きな地震動により壊滅的な被害を受けました。東海地震や南海トラフ巨大地震が想定される本市でも決して人ごとではないと改めて感じました。
耐震性が低い建物が密集している地区では、耐震性や防災性の向上とともに、都市のにぎわいを向上させる機能を導入する、再開発事業による共同ビルへの建て替えが有効な手段だと思います。
先ほど答弁をいただいた4つの地区の準備組合の中で、紺屋町・御幸町地区は、葵タワーの東側、静岡駅北口の目の前にあり、世界に輝く静岡を掲げる政令指定都市静岡の顔であります。この本市の顔であり玄関口という立地条件にふさわしいクオリティーを持ち、この地区に求められる都市機能を兼ね備えた再開発ビルに生まれ変わる必要があると思いますし、その実現に向け市の積極的な強力が必要ではないかと思います。
ただし、任意の民間による建て替えとは違い、市や国の予算が投入される公的な再開発事業としてはその事業にどのような社会貢献が求められるのか、重要な視点になるのではないかと思います。
そこでお尋ねします。
紺屋町・御幸町地区の再開発について社会貢献として何を期待しているのか、お答えください。
以上で2回目の質問を終わります。
114 ◯都市局長(塚本 孝君) 紺屋町・御幸町地区の再開発について、社会貢献として何を期待しているのかについてですが、再開発事業としての採択については、その事業内容がいかに社会貢献度の高い事業であるかが重要です。期待する社会貢献は、地区の特性や周辺状況により異なります。
紺屋町・御幸町地区で期待する社会貢献としては、静岡駅前という立地条件を最大限に生かすため、ハード面では本市の玄関口としての景観への配慮や地下道から地上への歩行者動線の確保、また公道と民地が一体となった公共的活用によるにぎわい空間の創出などです。
ソフト面では、市外のみならず海外からの集客ができる施設の誘導や呉服町通りなどの回遊性を向上させる仕組みづくりなどが上げられます。
今後も準備組合と連携の上、事業計画への助言や協力を行い、交流人口の増加や中心市街地の活性化を図るため、まちの顔の魅力向上を目指し、官民協働で取り組んでまいります。
〔33番亀澤敏之君登壇〕
115 ◯33番(亀澤敏之君) 御答弁ありがとうございました。
最後は意見・要望です。
私は、市役所に通う際は、いつも国道1号を西から東に向かって静岡駅前を左折してきます。この左折レーンの横にあるしずマチの光景ですが、高く伸びた雑草や、数人の高齢の路上生活者、そして存在を主張するトイレが目につきます。このような紺屋町・御幸町地区においては、駅前としての景観に配慮した一帯的な整備の必要性を感じています。
紺屋町・御幸町地区の再開発事業の計画づくりを進めるに当たっては、このしずマチをどう生かしていくかが重要であり、ぜひしずマチのあり方も含めて検討していただきたいと思います。
政令市の玄関口として余りにも貧弱に見えますし、また私も他都市に出かけておりますが、駅前におり立ったときの第一印象は駅前の姿であります。
また、紺屋町・御幸町地区の再開発事業に求められることとして、この地点を起点とした回遊性をいかに向上していくかが上げられます。静岡駅北口において紺屋町名店街に向かうには、国道1号をくぐった地下道が歩行者の主な動線となっており、私個人としては静岡市の玄関口として地上部については、にぎわいや回遊性に欠けると感じております。
紺屋町・御幸町地区の市街地再開発準備組合では、その事業地区内で新たに静岡駅と中心市街地とを結ぶ地下から地上への動線の整備を行い、その動線上に新たな商業ネットワークを構築し、また人の集まるたまり空間も整備することで新たな人の流れを創出するような中心市街地の回遊性の起点となる事業計画を立てると聞いております。この再開発事業による地下と地上の連絡を行う動線の整備、また周辺道路、特に呉服町通りへの回遊性向上への取り組みも含めた立体的、面的な歩行空間整備は、訪ねてみたくなる魅力あるゆとりの空間整備とまちづくりや中心市街地の回遊性の起点となる空間づくりに貢献できるのではないかと考えます。
このような事業をできるだけ早く実現していくことで中心市街地におけるにぎわいや回遊性の向上、静岡の玄関口にふさわしい顔づくりが進むことを期待しております。
最後に、紺屋町・御幸町地区の再開発事業の早期事業化に対する市の支援と、呉服町通りを含めた地区周辺の歩行者の回遊性の向上の取り組みの推進を強く要望して私の質問を終わります。ありがとうございました。
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116 ◯議長(栗田裕之君) 次に、福地 健君。
〔9番福地 健君登壇〕
117 ◯9番(福地 健君) お暑うございます。
きょう最後の質問者となりました自民党の福地でございます。本日は9人目の登壇でありますので、どうぞ最後までおつき合いのほどよろしくお願いいたします。
初めに、現在、第24回参議院議員選挙が開催されているところであります。皆さん御承知のとおり今回から18歳、19歳の方々も新たに選挙に参加することとなりまして、もちろん個人差はあると思いますけれども、これから多くの若者たちが積極的にまちづくり、国づくりに参加しようとしているところであります。当然、これにあわせて選挙で選ばれる側の候補者もまた、わかりやすい情報提供、政策の提言に努めているところであり、せっかくこのような取り組みが始まったタイミングでもございますので、私からはこの静岡市議会もまたわかりやすく市民に身近な議会でありたいという願いを込めまして、簡潔にわかりやすく質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
質問項目は、静岡市民の最大の関心事ともいえるのではないでしょうか、静岡市の人口減少問題について、この問題に対する最も直接的な対策とも呼べるであろう移住施策についてであります。
私が今回、この移住施策について質問することにしましたきっかけは、市民の方からの1本の電話でありました。その方は静岡市の人口減少を本当に心から憂いておられまして、昨年4月に静岡市が設置した移住支援センターに大変期待されている方でございました。いつの日か東京で生活している自分の子供や孫たちがこの静岡へ戻ってきてくれることを願っているとお話をしてくださり、そのためにはとさまざまな要望をぶつけてくださったのでありました。きっとこの方と同じような思いで、この静岡の地で過ごされている人も多いのではないでしょうか。
当然、移住施策だけで人口減少問題の全てが解決するわけではありません。静岡市内に魅力ある仕事、産業を生み出し、呼び込み、雇用をふやしていかなけば根本的な解決にはならないのでしょう。それでも私は今回、静岡市が移住支援センターを全国のどの市町村にも先駆けて首都圏に設置したこの意義を静岡市の姿勢のあらわれ、危機意識のあらわれ、本気度のあらわれであると高く評価をしております。
しかし、これは同時に静岡の本気とはどれほどのものなのかと、全国から厳しい目で見られている、また試されているのでもあると感じています。
そんなことを考えながら、先日私は同僚の畑田議員と一緒に東京は有楽町にある静岡市移住支援センターを訪れ、相談員の方からお話を聞かせていただきました。
静岡の移住支援センターは、フロア全体を運営していますNPO法人ふるさと回帰支援センターの5階にございます。静岡県が運営する移住相談センターの隣に設置され、その周りには山梨県や長野県のブースが並んでおり、それぞれの机の上にはご当地紹介パンフレットやポスターがところ狭しと並び、張られています。
私たちが訪れた日は平日で、また夕刻ということもあり、移住希望者の姿は見られませんでしたが、多くのスタッフが忙しそうに電話対応されている姿がとても印象的でありました。
このフロアの各ブースはどこも県単位で開設されていまして、一つの市という単位で窓口を開設しているのは、静岡市のただ1市ということでありました。先ほども申し上げましたとおり、田辺市政の強い危機感というものを実際に目の当たりにした思いでありました。
しかしながら、実際に移住希望者の相談に当たっているスタッフから話を聞いてみますと、静岡市の移住施策はまだまだ十分ではなく、課題も多く見られるという話でありました。
例えば、移住希望者の相談を引き継ぎ、具体的なアクションを起こしていくべき静岡市側の受け入れ体制が十分でないということ。さらに移住者が最も知りたいと思っているであろう仕事や住まいの相談に応じてくれる団体や地域の受け皿もその体制が十分とはいえないということでありました。つまり、東京の相談員が移住希望者を静岡へ送り出したとしても、あとは御自由にということであります。
ではなぜそのような声がスタッフから上がるのでしょうか。
市役所内を見てみますと、確かに昨年まで本事業を担当していました企画課の人口減少対策室、この名前は地方創生推進室へと変わり、地方創生というキーワードにかかる事業は、あれもこれも担当している多忙な職員が業務と業務の間で移住者希望の対応をしているのが現状であります。移住を希望される御本人とその御家族は、人生をかけて相談にみえているはずです。その人生をかけた相談に静岡市は本気で立ち会い、受けとめることができているのでしょうか。そういった部分に静岡市の姿勢であったり本気度というものがあらわれていて、全国の市町村、移住希望者たちはその対応を見ているのだろうと思います。このような声は、恐らく田辺市長のもとへも直接届いていることと思います。
そこで初めに、田辺市長にお聞きします。
静岡市が行う人口減少対策の一つの象徴ともいえるこの移住施策について、今後、人口増を図っていくためにはより協力にしっかりとした形で事業を進めていく必要があるのではないかと考えますが、田辺市長のお考えはいかがでしょうか。
次に、もう少し細かく東京有楽町にある静岡市移住支援センターの取り組みについてお聞きします。
昨年4月の開設以来、2人の専門職員を置き、さまざまな相談を受けてこられたことと思います。ここで得られたデータの蓄積というものは、今後、静岡市の移住施策をブラッシュアップしていく上で大変貴重なものであると考えますし、現在、検討が進められている静岡版CCRC、直訳しますと継続的なケアつきの高齢者たちの共同体、こういったものの構築を考えていく上でも重要な情報であると考えます。
平成27年度の相談件数や相談者の年齢構成、そして実際に静岡市へ移住された方々の状況はどのようになっているのでしょうか。お答えください。
先月、私どもの会派では、有志が集まり山梨県甲府市を訪問しました。中部横断自動車道の供用開始を前に両市の発展を見据え、甲府市議会との連携の強化が目的でありましたが、全国有数の移住者数を誇る甲府市の移住施策についてもレクチャーをいただくことができました。
甲府市では、市庁舎内に移住・定住コンシェルジュとして1名嘱託職員を雇用し、配置しています。この職員が地元と東京の間を走り回り、各種団体との折衝を行い移住相談セミナーを開催したり、移住希望者の仕事や住居、幼稚園や保育園の相談までも行うという、いわゆるワンストップ相談窓口を提供しているということでありました。なるほど参考になります。恐らく他県、他市においても静岡市が参考にできそうなさまざまな取り組みがなされているのではないでしょうか。
そこで質問ですが、ふるさと回帰センターが発表しました2015年移住希望地域ランキングの上位の県、長野、山梨、島根と静岡市の取り組みではどのような違いがあると認識をされておりますでしょうか。お答えください。
あわせて静岡市移住支援センター設置から1年を経過しまして、この間、移住相談員が考えている課題とはどのようなものがあるのか、お答えいただきたいと思います。
ここまでを1回目の質問とさせていただきます。
118 ◯市長(田辺信宏君) 私からは大項目、移住施策についてのうち市長の意向、人口増加を図るためには移住施策をより強力に進めていく必要があると思うが、どのように考えるかとの質問にお答えいたします。
御承知のとおり人口減少の原因は、自然減と社会減の2つに分けられます。1期4年、この立場で対策を打ってみて想定以上に少子高齢化の自然減人口圧力というのは大きいものだと実感しております。出生率の向上を実現していくために、子育て支援、出産支援、そして結婚支援と矢継ぎ早に手を打っておりますけれども、なかなか中長期的で時間がかかるというのが実際です。やはり社会減対策を積極的に取り組んで、そして自然減をカバーをしていくということが大事だと、そのためには交流人口の増大、これはMICEの推進等で、すそ野を広げ、その土台の上に定住人口増加にも取り組まなければいけないというのが2期目の課題であります。
そのために移住、帰住、定住者をふやしていくという施策を打ち出しました。そこで、これまでは来るのを待つという発想でしたが、みずから打って出ると、コペルニクス的な発想の転換をしようということになりまして、そして議員御指摘のとおり東京有楽町に移住支援センターを設置したわけであります。
都道府県レベルのブースしかなかったところに基礎自治体で初めて静岡市がブースを出したということは、その本気度をあらわす象徴的な取り組みだと、まずは理解をしていただきたいと思います。
市が出るということなので慌てて県が追っかけてきました。今では、市と県の移住相談センターが間仕切りをなくして、それぞれ県で受けた相談も市でつないでもらったり、市で受けた相談を県につないだりという非常に理想的な関係が築かれております。ほかの県のブースの相談員からは、あのように静岡は県市連携ができていてうらやましいねと、そういう声が多く上がっておると、市が打って出るという決断は間違いなかったと今では感じております。
さて、センター設置から1年がたちました。相談員の皆さんが一生懸命頑張っているその相談を受けるうちに幾つかの課題も浮かび上がってきました。これも現場に行って議員が聞き取ってきてくださったとおりであります。ソフト面、ハード面両面から、いわゆる受け入れ体制がまだ十分ではないということであります。象徴的に彼女たちの言葉をかりて言えば、私たちが親身になって人生の大門である移住の相談を受ける、そしてアドバイスをする、いってらっしゃいと東京から送り出すのだけれども、私たち静岡市側がいらっしゃいませと彼女たちと同じレベルで親身に歓迎をする、そういう空気が欠けるというのが1年間の課題であります。
いらっしゃいと受けとめる環境をつくっていかなければいけません。それは企画局という窓口だけの話ではありません。例えば、仕事ということであったらば経済局、あるいは子供がいるんだったら子ども未来局や教育委員会、役所の中でもいろんな窓口にいるわけですね。あるいはその地域にここに住んでみたいといったらその地域の住民の皆さん、市民の皆さんの協力というものも必要です。だから役所だけでなくて、静岡市民全体がそういう移住を受け入れるという環境をつくっていくということが大事であります。
ただし、これも御指摘がありましたとおり、昨年のふるさと回帰支援センターの調査による移住希望地の全国ランキング、目下のところは長野県が1位であります。山梨県が2位、島根県が3位、そして静岡県は4位に甘んじておりますが、私はこれまで1年間の経験の中で、静岡市は海、山、川などの豊富な自然環境に恵まれ、一方、公共交通機関や商業施設などの社会基盤も一通り整った住みやすさとか暮らしやすさは、決して長野県などの移住推進県に引けをとらない、むしろはるかに勝っていると考えております。子育てしやすい自治体のために努力の果て1位を獲得したように、将来全国1位になるポテンシャル、潜在的な可能性を本市は秘めていると私は考えております。
なので、課題は移住希望者をいらっしゃいと受けとめる意識、市の隅々まで浸透していくということが必要であります。
ハード面では、移住希望者から多く出たのは、まずはお試しで移住体験ができる、いわばお試し住宅というものを整備をしておいてほしいと。あるいは豊かな自然環境の中で土と戯れる暮らしをしたい。だからドイツにあるようなクラインガルデン、市民農園、農地を借りて滞在型で農業体験ができるような施設を整備してほしいと、このような要望もきております。そのソフトやハードの両面において移住希望者を受けとめる受け入れ体制を整えていけば必ずや皆さんに選んでいただける自治体になると信じております。
そこで、まずは全庁が一丸となって同じベクトルで進んでいかなければならない、ことしから新たに局長会議の場で企画局長から毎月人口動態の分析結果などを幹部職員一同でプレゼンを受け、共有して、我がことのように当事者意識を全局が持つという体制づくりを始めております。そして、企画局によるその分析結果、あるいは現場の相談員の報告を踏まえ、全ての局、区長に移住の促進という視点から、今ある事業を移住希望者向けにカスタマイズしていくことや、新しい事業を考えるようにという検討を指示したところであります。
これらの取り組みを着実に推進しつつ、組織は政策に従うという言葉どおり市の移住に対する本気度を対外的に示せるような組織のあり方もあわせて検討し、将来の移住したい自治体ナンバーワンを目指してまいります。
1本の電話からこの質問を思い立ったというその方にぜひ市長の思いも伝えていただき、これからも御提言、御指導をよろしくお願いいたします。
以下は局長に答弁させます。
119 ◯企画局長(山本高匡君) 私からは、移住支援センターについての3点の御質問にお答えいたします。
最初に、静岡市移住支援センターにおける平成27年度の相談件数などの実績についてでございます。
昨年度1年間のセンター窓口への相談は、287組、351人、また首都圏で開催いたしました計10回の移住セミナー、移住フェアには175組、244人合わせまして計462組、595人が訪れております。相談者の年齢構成は、20代から70代までと幅広く、中でも40代が27.1%と最も多く、次いで30代が18%となっております。当初は60代や70代といった退職された方が多いのではないかと想定しておりましたが、実際には働き盛りの方が多いという状況になっております。このため相談内容も仕事に関することが34.3%と最も多く、次いで住まいに関することが22.4%となっております。
また、相談者以外にも、福地議員を初め議員の皆様、それから他の自治体の関係者、報道機関なども約400人訪れてくれておりまして、一定の周知も図ることができたものと考えております。
次に、本市のセンター窓口での相談を通じて本市へと移住した方の実績でございますが、現時点で9世帯、16人となっております。そのほか市の窓口を通じて県内他の市町に移住した方も9世帯、12人いらっしゃいますように、先ほど市長がおっしゃいました隣接する静岡県移住相談センターとの連携で着々と実績を上げていただいております。
次に、移住希望地域ランキング上位3県と本市との移住施策における違いについてでございますが、先ほどの市長答弁にございましたように、現地で受け入れる側の意識の問題やお試し住宅などの施設の問題など、ソフト、ハードの両面で上位3県に本市は先行市とされていると考えております。具体的には長野県、山梨県は、以前から多くの別荘が存在し、その空き家物件を活用して移住者を迎え入れるための住宅を充実させております。また、移住体験ツアーのメニューなども豊富に準備するとともに、特に山梨県におきましては、就労支援を専門的に行うスタッフも含め、5人の相談員を有楽町のセンターに配置し、相談体制の充実を図っていらっしゃいます。また、島根県は、平成4年に県と民間が協働してふるさと島根定住財団を設置し、この財団が中心となって仕事や住宅の紹介を行うなど官民を上げた受け入れ体制が確立され、まさに県ぐるみとなって移住推進に取り組んでいらっしゃいます。
次に、移住相談員が考えている課題についてでございますが、今申し上げましたように、現地の受け入れ体制の整備やお試し住宅の不足といった課題のほかに移住に関する専属スタッフの増強、市内部における専門部署の設置の必要性や移住先の雰囲気が体感できるお試し移住の受け入れ先となる地域団体が不足しているという指摘が相談員からございました。また、センターには仕事や住まいに関する情報はもとより移住を考えるきっかけとなるような市のさまざまな情報が十分に提供されていないとの指摘もございました。例えば、共働きで子育てしやすいまちナンバーワンと評価された市であることや都会も田舎も両方満喫できるライフスタイルを実現できるまちであることなど、まずはこの誇るべき本市の魅力を発信してほしいと求められております。